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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0392A01: ○禪勝房云。故上人の敎あり。たとひ餘の事をいとな
Z08_0392A02: むとも。念佛し。これをするおもひあるべき也。餘事
Z08_0392A03: をしり。念佛せんとおもふべからず。
Z08_0392A04: ○故上人。是も法然上人也。
Z08_0392A05: ○行仙房云。或人問。我身の無道心をかへり見
Z08_0392A06: て。往生をうらおもふと。涯分を不顧。決定往生と思ふ
Z08_0392A07: と。いづれがよく候べき。答。我むかし。小藏入道に
Z08_0392A08: 謁したりき。往生は最初の一念に決定せり。報命盡き
Z08_0392A09: ざれば。依身の未だ消へざるばかり也と申されしが。
Z08_0392A10: 勝の往生を。とげられき。熊谷入道も。此定に被申ける
Z08_0392A11: 殊となん承る。禪勝房。又。生あるもの〻必ず死するが
Z08_0392A12: ごとく。往生にをきては。決定也と被申けるが。殊勝の
Z08_0392A13: 往生をとげられたり。此兩三人は。同上人面授の人々
Z08_0392A14: にて。彼御敎訓也。しかれば決定往生の思を可也。
Z08_0392A15: 慈心上人問。行仙上人答。
Z08_0392A16: ○うらおもふ。慮の字にて。氣づかひの事。○涯分。
Z08_0392A17: 我身の分齊なり。○小藏入道に謁したりき。園田
Z08_0392A18: 太郞號智明房。謁はあへる事也。○最初の一念
Z08_0392A19: はじめて信受せし心念なり。○報命。た▲命の事也。
Z08_0392A20: 資持記。命之延促。宿因。故報命已上
Z08_0392B01: ○熊谷入道。蓮生房。○此兩三人。小藏入道。蓮生
Z08_0392B02: 房。禪勝房の事也。
Z08_0392B03: ○鎭西の本覺房。明遍に奉。心もし散漫せば。
Z08_0392B04: 其時の稱名善にあらず。心をしづかにして。のち可
Z08_0392B05: 也と申し候は。いか▲可用意らん。答。其は
Z08_0392B06: 上機にてぞ候はん。空阿彌陀佛がごときの下機は。心
Z08_0392B07: をしづむる事は。いかにもかなひがたければ。念殊の
Z08_0392B08: 緖をつよくして。亂不亂を不。くりゐてこそ候へ。
Z08_0392B09: 心のしづまらん時と思はんには。堅固念佛申さぬも
Z08_0392B10: のにてこそ候はんずれ。
Z08_0392B11: ○散漫。萬境に心のちる也。○上機。すぐれたる
Z08_0392B12: 心也。○下機。なみの心也。○空阿彌陀佛。明遍僧
Z08_0392B13: 都也。○いかにも。いかにとしても。
Z08_0392B14: ○高野の明遍僧都。善光寺參諸のかへりあしに。法然
Z08_0392B15: 上人に對面。僧都問。いか▲して。今度生死をはな
Z08_0392B16: るべく候。上人の云。念佛申してこそは。問給はく。誠
Z08_0392B17: にしかり。但妄念おこるをばいか▲仕り候べき。上人
Z08_0392B18: 。妄念おこれども。本願力にて往生するなり。僧
Z08_0392B19: 都。さうけ給りぬとて。出給ひぬ。上人つぶやきて云
Z08_0392B20: 妄念おこさずして。往生せんとおもはん人は。むまれ

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