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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0385A01: 往生は一念にもよらず。多念にもよらず。心によるな
Z08_0385A02: り。
Z08_0385A03: ○心によるなり。世人。一念多念のあらそひは。口
Z08_0385A04: ばかりの事なり。心と口と相應してこそ。往生はす
Z08_0385A05: れと也。されば信を一念にとりて。行を多念にはげ
Z08_0385A06: むべき也。
Z08_0385A07: ○有云。俊乘上人高野の奧院に。七ケ日參籠。結願の
Z08_0385A08: 夜。深更におよびてよろづ寂寞たりける時。入定の御
Z08_0385A09: 殿のうちに。た▲一こゑ念佛の御こゑ。さだかにした
Z08_0385A10: まひけり。人是をきゝて悲喜身にあまり。感涙たもと
Z08_0385A11: をしぼりけるとぞ。
Z08_0385A12: ○俊乘上人。高野參籠の時。大師の御吿ありし事。
Z08_0385A13: 故事談に見ゆ。○寂寞。物しづかなる義也。○さだ
Z08_0385A14: かに。たしかにきこゆる也。○悲喜。悲はかなし
Z08_0385A15: み。喜はよろこぶなり。人のしらぬをかなしひ。わが
Z08_0385A16: きけるをよろこぶなり。
Z08_0385A17: ○慈圓僧正入滅の後。或人の夢に示M(シテ)。顯密の稽古
Z08_0385A18: は。ものゝ用にもたゝず。時々せし空觀と念佛とぞ。後
Z08_0385A19: 世の資糧となる。
Z08_0385A20: ○顯密の稽古。天台。眞言の學問なり。○空觀。諸
Z08_0385B01: 法皆空の觀念なり。○資糧。かてとなる義也。
Z08_0385B02: ○法然上人云。善導の御釋を拜見するに。源空がめに
Z08_0385B03: は三心四修。皆ともに南無あみだ佛と見ゆるなり。
Z08_0385B04: ○法然上人云。是は口傳ある事なり。
Z08_0385B05: ○又云。念佛の義をふかく云事は。還て淺事也。義はふ
Z08_0385B06: か〻らずとも。欣求だにも深くば。一定往生はしてん。
Z08_0385B07: ○又云。念佛は果海甚深の境界にして。因分解會
Z08_0385B08: の及ぶところにあらず。た▲あふぎて信ずれば佛
Z08_0385B09: 願にかなふ也。義のふかきは解なり。欣求のふか
Z08_0385B10: きは信なり。密家に解信深信といふ事あり。
Z08_0385B11: ○敬日房云。かまへて。念佛に氣味おぼえよ。
Z08_0385B12: 氣味おぼえよ。わが念佛のこゑ。わが耳に入て信
Z08_0385B13: をもよほし。罪を滅し妄念をはらふ。そのほか。あま
Z08_0385B14: たの德あり。西要抄にも。念佛のきひしりたる人は。
Z08_0385B15: いとまれなりとあり。
Z08_0385B16: ○顯眞座主云。ろくろかまへたることぞ。
Z08_0385B17: ○ろくろかまへたることぞ。佛願の重罪を接し
Z08_0385B18: 給ふ事は。大木を引に。轆轤をかまへたらんがごと
Z08_0385B19: し。繪詞傳第十九に物語あり。
Z08_0385B20: ○明禪法印云。往生は大事なる事のやすきなり。

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