浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0383A01: | あやまりてしなむは。よろこびなりとだに存ずれば。 |
Z08_0383A02: | 何事もやすくおぼゆるなり。しからば。我も人も眞實 |
Z08_0383A03: | に後世をたすからむとおもはんには。かへすがへす |
Z08_0383A04: | も道理をつよくたて〻。心にまけず。生死界の事を。も |
Z08_0383A05: | のがましくおもふべからざるなり。されば經(𣵀槃經)に |
Z08_0383A06: | 心の師となりて。心を師とせざれといへる是なり。 |
Z08_0383A07: | ○道理をつよくたて〻。心の師となり。己に克て |
Z08_0383A08: | 晩節をたもち。私にまくることなかれと也。 |
Z08_0383A09: | ○顯性房云。我は遁世の始よりして。と(疾)く死なば |
Z08_0383A10: | やと云事を習ひしなり。さればこそ。二十餘年間なら |
Z08_0383A11: | ひし故に。今は片時も忘れず。とく死にたければ。すこ |
Z08_0383A12: | しも延びたる樣なれば。むねがつぶれてわびしき也。 |
Z08_0383A13: | さればこそ。符籠一も。よくてもたむとすることをば |
Z08_0383A14: | 制すれ。生死を厭ふ事を大事とおもはざらんや云云。 |
Z08_0383A15: | ○とく死なばや。此事は。西要抄の上卷第五の問 |
Z08_0383A16: | 答をみるべし。諺註にくわしくしるせり。○むねが |
Z08_0383A17: | つぶれて。和字の物にいくらもあることば也。き |
Z08_0383A18: | ものつぶる〻事也。○生死をいとふ事を大事。無 |
Z08_0383A19: | 始より生を愛して。いとはざりしゆへに。今まで流 |
Z08_0383A20: | 轉を經たる也。 |
Z08_0383B01: | ○聖光上人云。八萬の法門は。死の一字をと(說)く。然 |
Z08_0383B02: | ば則。死を忘れざれば。八萬の法門を自然に心へたる |
Z08_0383B03: | ものにある也。 |
Z08_0383B04: | ○死の一字。釋尊ひろく經をとき給ひし事は。生 |
Z08_0383B05: | もなく死もなき佛となさしめんため也。天仙の長 |
Z08_0383B06: | 生も。生あるゆへにまた死あり。○又八萬四千の法 |
Z08_0383B07: | 門は。死後の沈淪をすくはんため也。 |
Z08_0383B08: | ○敬仙房云。一生はただ生をいとへ。 |
Z08_0383B09: | ○生をいとへ。生をむさぼれば。又生死の生をう |
Z08_0383B10: | くる也。 |
Z08_0383B11: | ○明遍云。出家遁世の本意は。道のほとり。野べの間に |
Z08_0383B12: | て死せむことを。期したりしぞかしと。如レ此おもひつ |
Z08_0383B13: | れば。いかに心ぼそき事にあふとも。一念も人をうら |
Z08_0383B14: | むべからず。それにつけても佛力をあふぐべきなり。 |
Z08_0383B15: | ○期したりしぞかし。期は心あてなり。○佛力を。 |
Z08_0383B16: | 法然上人のおしへにも。臨終の知識はなくとも。佛 |
Z08_0383B17: | をたのみて往生すべしと侍る。 |
Z08_0383B18: | ○顯性房云。死をいそぐ心ばへは。後世の第一のたす |
Z08_0383B19: | けにてあるなり。 |