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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0383A01: あやまりてしなむは。よろこびなりとだに存ずれば。
Z08_0383A02: 何事もやすくおぼゆるなり。しからば。我も人も眞實
Z08_0383A03: に後世をたすからむとおもはんには。かへすがへす
Z08_0383A04: も道理をつよくたて〻。心にまけず。生死界の事を。も
Z08_0383A05: のがましくおもふべからざるなり。されば經(𣵀槃經)
Z08_0383A06: 心の師となりて。心を師とせざれといへる是なり。
Z08_0383A07: ○道理をつよくたて〻。心の師となり。己に克て
Z08_0383A08: 晩節をたもち。私にまくることなかれと也。
Z08_0383A09: ○顯性房云。我は遁世の始よりして。と(疾)く死なば
Z08_0383A10: やと云事を習ひしなり。さればこそ。二十餘年間なら
Z08_0383A11: ひし故に。今は片時も忘れず。とく死にたければ。すこ
Z08_0383A12: しも延びたる樣なれば。むねがつぶれてわびしき也。
Z08_0383A13: さればこそ。符籠一も。よくてもたむとすることをば
Z08_0383A14: 制すれ。生死を厭ふ事を大事とおもはざらんや云云。
Z08_0383A15: ○とく死なばや。此事は。西要抄の上卷第五の問
Z08_0383A16: 答をみるべし。諺註にくわしくしるせり。○むねが
Z08_0383A17: つぶれて。和字の物にいくらもあることば也。き
Z08_0383A18: ものつぶる〻事也。○生死をいとふ事を大事。無
Z08_0383A19: 始より生を愛して。いとはざりしゆへに。今まで流
Z08_0383A20: 轉を經たる也。
Z08_0383B01: ○聖光上人云。八萬の法門は。死の一字をと(說)く。然
Z08_0383B02: ば則。死を忘れざれば。八萬の法門を自然に心へたる
Z08_0383B03: ものにある也。
Z08_0383B04: ○死の一字。釋尊ひろく經をとき給ひし事は。生
Z08_0383B05: もなく死もなき佛となさしめんため也。天仙の長
Z08_0383B06: 生も。生あるゆへにまた死あり。○又八萬四千の法
Z08_0383B07: 門は。死後の沈淪をすくはんため也。
Z08_0383B08: ○敬仙房云。一生はただ生をいとへ。
Z08_0383B09: ○生をいとへ。生をむさぼれば。又生死の生をう
Z08_0383B10: くる也。
Z08_0383B11: ○明遍云。出家遁世の本意は。道のほとり。野べの間に
Z08_0383B12: て死せむことを。期したりしぞかしと。如此おもひつ
Z08_0383B13: れば。いかに心ぼそき事にあふとも。一念も人をうら
Z08_0383B14: むべからず。それにつけても佛力をあふぐべきなり。
Z08_0383B15: ○期したりしぞかし。期は心あてなり。○佛力を。
Z08_0383B16: 法然上人のおしへにも。臨終の知識はなくとも。佛
Z08_0383B17: をたのみて往生すべしと侍る。
Z08_0383B18: ○顯性房云。死をいそぐ心ばへは。後世の第一のたす
Z08_0383B19: けにてあるなり。

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