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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0381A01: ○裘荷。つ〻らかわごのたぐひ。○籠負。竹のか
Z08_0381A02: ごのおひなり。修行者のおひまはるもの也。○故實。
Z08_0381A03: 故事の實なるもの也。○生涯。涯は際(キワ)なり。一
Z08_0381A04: 生のかぎりをいふ。○忍がたきことも。新拾遺の
Z08_0381A05: 歌に。世のうさもいかはかりかはなけかれん。は
Z08_0381A06: かなきゆめとおもひなさすは。新續古今に。是もま
Z08_0381A07: たありてなき世と思ふをそ。うきをりふしのなく
Z08_0381A08: さめにする。兼好家集に。うきこともしはしはかり
Z08_0381A09: の世の中を。いくほといとふわと身なるらん。○此
Z08_0381A10: 理。無常の道理也。○詮要。所詮肝要なり。
Z08_0381A11: ○解脫上人云。一年三百六十日は。みな無常にしたが
Z08_0381A12: ふべきなり。しかれば日夜十二時は。しかしながら終
Z08_0381A13: 焉のきざみと思ふべし。
Z08_0381A14: ○一年三百六十日。一年の日の內に。吉日といへ
Z08_0381A15: ども。人のしなぬ日といふはなし。禮讚に。一切臨終
Z08_0381A16: 時とあるを。良忠上人の記に。時々尅々に。臨終の
Z08_0381A17: おもひをなすと釋し給へり。
Z08_0381A18: ○敬佛房云。或時心佛房に示M(シテ)云。世間の鍜冶番匠等が
Z08_0381A19: 其道を傳ふる事かならずしもこと〲く敎えねど
Z08_0381A20: も。其中に宗とあることをしれば。其道を傳えたりと
Z08_0381B01: いふぞかし。其定に。此二三年そひたるしるしには。世
Z08_0381B02: をのがれたる身にて。無常を忘れずしてだにあらば。
Z08_0381B03: 本意なるべし。
Z08_0381B04: ○そひたる。敬佛房。心佛房につきそひ給へる也。
Z08_0381B05: ○有云。比叡の御社に。いつはりて。かんなぎのまねし
Z08_0381B06: たるなま女房の。十禪師の御前にて夜うち(フケ)。人しづ
Z08_0381B07: まりて後。ていとう〱とつ▲みをうちて。心すまし
Z08_0381B08: たる聲にて。とてもかくても候。なう〱とうたひけ
Z08_0381B09: り。其心を人にしゐ問れて云。生死無常の有樣を思ふ
Z08_0381B10: に。此世の事は。とてもかくても候。なう後世をたすけ
Z08_0381B11: 給へと申すなり云云。
Z08_0381B12: ○比叡の御社。山王權現の事也。七社の中の大宮
Z08_0381B13: 二宮を大比叡。小比叡といふ。ひえの山のふもとに
Z08_0381B14: あり。○かんなぎ。巫女とかく。みこの事也。○な
Z08_0381B15: ま女房。(ナマ〱)媚こびたる義也。○十禪師。是も山王
Z08_0381B16: 七社の。第六番目の社なり。
Z08_0381B17: ○敬佛房云。某は事にふれて。世間の不定に。此身の
Z08_0381B18: あだなる事をのみ思ふあひだ。折節につけて。起居の
Z08_0381B19: ふるまひまでに。あやうき事おほくおぼゆるに。御房
Z08_0381B20: たちは。よにあぶなかりぬべきおりふしにも。いさ〻

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