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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0377A01: の人。庵室にこもりては。心のすむやうなれども。常
Z08_0377A02: 住の念もわすれぬ內は。心のすむといふものには
Z08_0377A03: あらず。○幽玄なる樓。風流にしてしづかなるたか
Z08_0377A04: どの也。
Z08_0377A05: ○敬日上人の云。遁世に三の口傳あり。一には同宿。二
Z08_0377A06: には同體なる後世者どもの。菴をならべたる所に不
Z08_0377A07: 住。三には遁世すればとて。日來の有樣をことご
Z08_0377A08: としく不改云云。
Z08_0377A09: ○同宿 おなじいほりに。やどる事あしきと也。
Z08_0377A10: ○傳敎記文云。後世者の住所は。三間に不過。謂。一
Z08_0377A11: 間は持佛堂。一間は住所。一間は世事所なり。
Z08_0377A12: ○後世者の住處。長明がかりの庵。ほどせばしといへ
Z08_0377A13: ども。一身をやどすに不足なしといへり。その家の
Z08_0377A14: ありさまは方丈記を見るべし。
Z08_0377A15: ○或人。明禪法印にたづね申して云。非人法師は。如何
Z08_0377A16: なる所にか住すべく候らん。仰云。念佛だに申され
Z08_0377A17: ば。いかなる所にてもありなん。(下知の詞)念佛のさは
Z08_0377A18: りとならん所ぞあしかるべき。但。境界をばはなるべ
Z08_0377A19: きなり。
Z08_0377A20: ○念佛だに申されば。この御しめし。法然上人御す
Z08_0377B01: すめと同事也。禪勝房にしめし給へる御返事。繪詞
Z08_0377B02: 傳四十五にあり。とかく念佛の申さる〻やうに〓せ
Z08_0377B03: よとなり。○境界。 女人ちかきところ。富貴の家の
Z08_0377B04: あたり。人立のおほきところ。物さわがしき處など
Z08_0377B05: をいふ。尤眷屬の事をもいふ也。
Z08_0377B06: ○有云。乞食修行の次に。我執名聞を遁れて。心しづ
Z08_0377B07: かに後世のつとめをもし。終をも取りつくべき依所。
Z08_0377B08: 便宜の德失などをかねて。よく〱思慮し。見さだめ
Z08_0377B09: てをくべきなり。後世のこ〻ろなきものは。この案が
Z08_0377B10: なきなり。
Z08_0377B11: ○乞食。 鉢にいづることなり。○修行。行脚の事
Z08_0377B12: なり○終をも取りつべき依所。臨終すべきところ
Z08_0377B13: なり。○便宜の得失。勝手のよしあし。○この案。
Z08_0377B14: 思案也。案とばかりいふて源氏物語などにおほし。
Z08_0377B15: ○又云。如形も非人をたて。心やすく念佛せんと思は
Z08_0377B16: んものは。出世の法財なを可之。況や世間の資
Z08_0377B17: (タスク)緣は。あひかまへて〱。事すくなき樣に。ふる
Z08_0377B18: まひなすべきなり。はだをもかくし。命をつぐ事も。非
Z08_0377B19: 人の身に相應して。出離の心ざしも。けがさぬやうに
Z08_0377B20: たくむべきなり。

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