ウィンドウを閉じる

Z0400 空花和歌集 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0370A01:
Z08_0370A02: これを見んおり〱ことに思ひ出て
Z08_0370A03: 南無阿彌陀佛とつねにとなへよ
Z08_0370A04: 是は十二問答の終にか〻せ給へる歌なり。語燈第
Z08_0370A05: 十四に載せたり。心はあらはなり。上の句は敎なり。
Z08_0370A06: 下の句は行なり。○これとは。十二問答の文なり。
Z08_0370A07: ○おもひ出でてとは。淨土を思ひ。上人を思ひ出
Z08_0370A08: す也。又ふかく其義を思惟する也。○常にとなへよ
Z08_0370A09: とは。無間修の御勸也。
Z08_0370A10: 慈鎭和尙の歌にも
Z08_0370A11: 津の國の蘆の八重ふき𨻶もなく
Z08_0370A12: となへてすきよ南無阿彌陀佛
Z08_0370A13: 上人云。往生の爲には念佛第一なり。學問すべ
Z08_0370A14: からず。伹し念佛往生を信ぜんほどは學すべき
Z08_0370A15: 也。○慧心云。於テハ念佛相應敎文。常
Z08_0370A16: 披讀習學已上○寶鑑云。旣
Z08_0370A17: 了義。暗中トモ寶。無クハスヿ
Z08_0370A18: 云云。○見るは聞慧のごとく。思ひ出は思慧。とな
Z08_0370A19: ふるは修慧也。○雲棲云。聞クヲ佛名。是
Z08_0370A20: 聞慧。執受M(シテ)。是思慧。持守M(シテ)
Z08_0370B01: 修慧云云。○見ても聞ても其義を思はざ
Z08_0370B02: れば。ふかき旨趣なし。思ふても修せざれば往生
Z08_0370B03: を得ず云云。
Z08_0370B04: 此書。瑞夢の吿に任せて。空花和歌集と名づけ侍る。ひ
Z08_0370B05: そかに思ふに。これ已に。空公の詞花なり。又かのかし
Z08_0370B06: こき御こ〻ろには。か〻る秀歌をも。空花にひとしく
Z08_0370B07: こそ見そなはし給ふべければ。夢感によるといへど
Z08_0370B08: も。その義おのづから相かなふ者歟。上人はさばかり
Z08_0370B09: 優美なる御心づかひなりしに。流を掬ぶわれらは。つ
Z08_0370B10: や〱。やさしき情もなく。和歌の道芝には。露も心
Z08_0370B11: をかけ侍らず。鄙の嗣の舌うちだみて。あら〻かに。經
Z08_0370B12: 釋を誦するのみぞ。世につたなく。ふつ〻かなれ。又
Z08_0370B13: 此數寄の情は。ひとり上人のみにあらず。辨師。然師
Z08_0370B14: よりはじめて。代々の詞法の表には。和歌をよみ添え
Z08_0370B15: て。授け給へり。誠にやさしく。殊勝なるわけなり。湛
Z08_0370B16: 空。法蓮。隆寬。聖覺なども。おの〱。やまと歌に。ふ
Z08_0370B17: かくまし〱たり。又西山上人より。蓮生。圓空。顯意
Z08_0370B18: に至るまで。皆よく和歌を詠じ給へり。その歌。のせ
Z08_0370B19: て勅撰にあり。その外も。作者部類におほく見えた
Z08_0370B20: り。然れば。淨土宗の人は。誰も〱。これらのかしこ

ウィンドウを閉じる