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Z0400 空花和歌集 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0365A01: その詮なければ。龍頭蛇尾の譏あるよし也。此前
Z08_0365A02: は。下の句つよくして。首尾よく相かなふ物歟。
Z08_0365A03: ○此歌の小松を。讚州の事といへる說あれども。
Z08_0365A04: 御傳の詞書になき事なれば用ひがたし。古き物
Z08_0365A05: には讚岐の子松と書きたり。小松にはあらず。又
Z08_0365A06: 高松とは。摠じて高き松をよめり。かの國にはか
Z08_0365A07: ぎらず。いはんや高松と子松とは。その所も別な
Z08_0365A08: り。倭名抄に見ゆ。○顯林抄にも。谷の松といふ題
Z08_0365A09: には。人にしられぬ心をよむと侍れば。此歌はよ
Z08_0365A10: く所にもよみ。人にも應じたる歌なり。○上人所
Z08_0365A11: 住の地も。度々改れり。西塔黑谷。西山の廣谷。東
Z08_0365A12: 山の吉水の邊と。嵯峨の二尊院。賀茂の()(ハラ)()。天
Z08_0365A13: 王寺の新別處。小松谷。讚州。勝尾。大谷等なり。○
Z08_0365A14: 又案ずるに。上人は常に淨土の寶樹に心を懸け
Z08_0365A15: 給ふべし。然れば雲をさ〻ふる高松をも。八千由
Z08_0365A16: 旬の寶樹の量に對して。小松といふはむべなり
Z08_0365A17: との心も。をのづから侍るべし。○定善義云。一
Z08_0365A18: 三十二萬里ナリ。亦無老死者。亦無小生
Z08_0365A19: 。亦無初生漸長者。起レハ卽同時。量數齊
Z08_0365A20: 等。何ルトナラ者。彼界位是無漏無生之界ナリ
Z08_0365B01: 豈有ンヤ生死漸長之義也云云。○五會讚云。香風
Z08_0365B02: 時。寶林鳴聽者ヲM(シテ)無生云云。○莊
Z08_0365B03: 嚴讚云。七重寶樹にさける花。ちれどもさらに
Z08_0365B04: 盡きもせで。常盤堅盤の色なれば。春とも秋とも
Z08_0365B05: いひがたし云云。
Z08_0365B06:
Z08_0365B07: 池の水人のこ〻ろに似たりけり
Z08_0365B08: にこりすむことさためなけれは
Z08_0365B09: 此歌も續後拾遺集釋敎部に入りたり。
Z08_0365B10: 題しらす 源空上人
Z08_0365B11: 我こ〻ろ池水にこそにたりけれ
Z08_0365B12: にこりすむこと定なくして
Z08_0365B13: とあり。人といひ。我といふ詞は。たがひにかよふ
Z08_0365B14: 也。その例無名抄などにみえたり。上人はひろく諸
Z08_0365B15: 人の心をはかりて。念佛をす〻め給はんが爲なれ
Z08_0365B16: ば。人の心とあそばせり。かの萬葉集の歌をも。後
Z08_0365B17: 世の勅撰に引きなをして。入れられし例もある事
Z08_0365B18: なり。又上人の傳も。あまたありければ。餘の傳に依
Z08_0365B19: りて。載せられし事もや侍らん。歌の落著は。念佛
Z08_0365B20: の御勸とみゆ。末代の衆生は。見濁煩惱濁。いやま

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