浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0092A01: | がいのちはあるにもあらず。いまはさだめてひさし |
Z08_0092A02: | からじ。わづかに水にある程。はかなくよろこぶけし |
Z08_0092A03: | きあれども。いまにくやしかるべきがごとく。(八〇) |
Z08_0092A04: | われらひさしく流轉のなみ(浪)につか(疲)れて。出 |
Z08_0092A05: | 離のゑ(餌)にうえ(飢)たりし身の。たま〱名號 |
Z08_0092A06: | のつり(釣)をえ(得)てのみぬ。苦海にあらん事。い |
Z08_0092A07: | まいくばくぞや。(八一)わづかにいのちのつきざら |
Z08_0092A08: | ん程。わすれず。となへんとするは。くるしきに〻た |
Z08_0092A09: | れども。前念にいのちをはらば。後念にすなはち往生 |
Z08_0092A10: | せん。永劫の快樂こ〻ろよきにあらずや。物うき(懶) |
Z08_0092A11: | ことをわすれて。ねんごろに念佛すべし。(八二)おほ |
Z08_0092A12: | よそ(大凡)本願はさお(竿)(イほ)のごとし。名號はつり |
Z08_0092A13: | (釣)に〻たり。衆生の南無阿彌陀佛と〻なふるは。魚の |
Z08_0092A14: | ゑ(餌)をのみぬるにことならず。さればすでに大悲 |
Z08_0092A15: | の漁人。(むらきみ)本願のさお(イほ)よりたれたる。名號 |
Z08_0092A16: | のつりをふく(含)みて。生死の深淵(ふかきふち)をい(出) |
Z08_0092A17: | でん事。さら〱うたがひあるべからす。(八三)さお |
Z08_0092A18: | (イほ)にかけたるつりは。のむほどのうを〻えずと |
Z08_0092A19: | いふことなし。本願にたれたる名號なれば。となへん |
Z08_0092A20: | ほどのもの〻。うまれぬはあるべからず。(八四)ゑを |
Z08_0092B01: | もとめて。つりをのむまでは。わづかに魚のわざなれ |
Z08_0092B02: | ども。つりをかまへて魚をうる事は。さながら人のち |
Z08_0092B03: | からにあり。(八五)往生をねがひて名號をとなふる |
Z08_0092B04: | は。いさ〻か衆生のわざなれども。本願をかまへて衆 |
Z08_0092B05: | 生をみちびくは。こと〲く佛のちからにあり。(八六) |
Z08_0092B06: | 極惡の機の。傍機たすけ給へと思て。傍心南無阿彌陀 |
Z08_0092B07: | 佛と申すは。傍行機もつたなく。心もをろかに。行もい |
Z08_0092B08: | やしけれども。(八七)これをわづかに。ゑ(餌)をも |
Z08_0092B09: | とめ。つり(釣)をふくむほどのなかだちとして。(八八) |
Z08_0092B10: | 若不生者不取正覺と。ちかひ給ふ本願にすがりなば。 |
Z08_0092B11: | さだめて往生せん事を。魚のいのちを。つりにまかせ |
Z08_0092B12: | たるになずら(准)へてみむ。(八九)か〻るを他力に |
Z08_0092B13: | 乘じて。往生すとはならふ也。(九〇)されば。この名 |
Z08_0092B14: | 號のつりをのみぬるこそ。返々たのもしくおぼゆれ。 |
Z08_0092B15: | (九一)極樂ならでは。いづく(何國)へかまかり(辭退) |
Z08_0092B16: | 待らん。(九二)なにもげに期(かぎり)といふ事がありけ |
Z08_0092B17: | るぞかし。(九三)このたびが。生死のかぎりにて侍り |
Z08_0092B18: | けるよと。(九四)いひあへず。(不敢)(九五)ことばもなみ |
Z08_0092B19: | だにと▲こほるけしき。(九六)ことはりにいりた〻ぬ |
Z08_0092B20: | (不入立)身なれども。たのもしくたうとくおぼゆ。(九七) |