ウィンドウを閉じる

Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0079A01: 乘ずる時。妄念の心をひるがへして。さとりの心とは
Z08_0079A02: なるべきなり。妄念の中より申いだしたる念佛は。に
Z08_0079A03: ごりにしまぬはちすのごとくにて。決生往生うたが
Z08_0079A04: ひなし云云。●(三五)前後の心に發願廻向あるゆへ。そ
Z08_0079A05: の中間の事を口ばかりといふなり。それも妄念にむ
Z08_0079A06: せびたる時の事なり。いつも口ばかりにと。す〻むる
Z08_0079A07: にはあらず。記主禪師。問。心M(シテ)歸命。口ルモ
Z08_0079A08: 。此亦有願而得ルヤ往生也。答。不。意若
Z08_0079A09: ナハ身口焉云云。○はじめ修行者の問に。妄念心に
Z08_0079A10: きほひて。念佛は口ばかりなりとありしを。上卷第二の問こ〻
Z08_0079A11: にてこたふるなり。●(三六)此時心口相應の念佛に
Z08_0079A12: なるなり。●(三七)いかに妄念の中より申念佛も。み
Z08_0079A13: な往生の業となるなり。大師の御釋に。二河をかへり
Z08_0079A14: 見ぞと侍るは。妄念に目をかけずして。となへよとの
Z08_0079A15: 心なり。疏。信-順M(シテ)二尊之意。不水火二河
Z08_0079A16: 念々ルヿ已上○むかしある人。心に妄念をおこし。
Z08_0079A17: 口に念佛するは。內外各異なれば。至誠心にそむきて
Z08_0079A18: 往生せずといへり。ゆ〻しきひがごとなり。念佛の
Z08_0079A19: 間に餘事をおもふは。自然の妄念なり。至誠心のかけ
Z08_0079A20: たるにはあらず。又世に善導法燈といふ物あり。その
Z08_0079B01: 中に。妄念のまじはる念佛は。かたく往生せずといへ
Z08_0079B02: り。かの人。淨土家の大意に無案內なり。經釋も末練な
Z08_0079B03: るゆへ。私の義をしるして世に披露す。おろかなる男
Z08_0079B04: 女はこれにまどふ。大悲の佛願をへだて。人をして疑
Z08_0079B05: 悔せしむ。無智のともがらにみせしむることなかれ。
Z08_0079B06: 正法弘通の邪魔となるべし。かの書の非をいさむる
Z08_0079B07: 事。洞公の破戒往生章のごとし。●(三八)是非妄念が
Z08_0079B08: 心にか〻らば。かくのごとくすべしとなり。又六字を
Z08_0079B09: となふる中に。餘念なき樣にすべし。●(三九)我等欲
Z08_0079B10: 界散地にうまれたる。煩惱具足の凡夫なれば。妄念の
Z08_0079B11: くせはやむことなし。その妄念のやむ時を待て。念佛
Z08_0079B12: せんとおもは▲。河の水のひる時をまちて。わたらむ
Z08_0079B13: といふがごとし。一生はつくるとも。妄念はやむまじ。
Z08_0079B14: いまだ妄念がやまぬとて。いたづらに手をこまねき
Z08_0079B15: て。臨終の苦痛をまたんや。○二河の釋に依て此たと
Z08_0079B16: へ出たり。めづらしき譬說にして。よくかなへる事な
Z08_0079B17: り。●(四〇)妄念は衆生顛倒の心よりおこりて。さら
Z08_0079B18: に實體なし。たとへば風をつなぎ。影をとらふるがご
Z08_0079B19: とし。念佛は如來の願行より成じて。たしかに萬德を
Z08_0079B20: そなふ。その堅實なること金石のごとし。一虛一實の

ウィンドウを閉じる