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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0073A01: 妄念をこそさまたぐれ。妄念にさまたげらる〻事は
Z08_0073A02: なきなり。(四〇)わざとやめんとすれば。妄念いよ
Z08_0073A03: いよたえず。新古今に。しのばじよ石間づたひの谷川も。瀨をせくにこそ水まさりけれ(四一)
Z08_0073A04: をこ(起)らばをこれとうちすて〻。妄念をかへりみ
Z08_0073A05: ず。申すが手にて侍也。(四二)さるを世のまぎれのひ
Z08_0073A06: まなさに。念佛が申されぬなどいふ人は。た▲往生
Z08_0073A07: の心ざしのなきゆへに。せめての事とこそおぼゆれ。
Z08_0073A08: (四三)かならずしも。千遍萬遍申つ▲けたるのみやは。
Z08_0073A09: 往生の業なるべき。一念十念づ〻なりとも。本願は。よ
Z08_0073A10: もきらひ給はじ。(四四)ず▲(數珠)をと(捉)りたる
Z08_0073A11: がいみじ(美)きにしもあらじ。とてもかくても。申こ
Z08_0073A12: そ詮にて侍るべけれ。(四五)されば樂天のことばに
Z08_0073A13: は。(四六)たちても阿彌陀。ゐても阿彌陀。たとひいそ
Z08_0073A14: がはしき事。きる(鑽)に一本に。火の字入に(似)たれども。
Z08_0073A15: 一聲の阿彌陀はすたれずといへり。(四七)すでに先
Z08_0073A16: 賢の故實也。さらに後學の今案にあらず。(四八)すべ
Z08_0073A17: からく一聲の阿彌陀をたもちて。よろしく九品の無
Z08_0073A18: 生忍を證すべし。(四九)おほよそ。(大凡)(五〇)稱佛
Z08_0073A19: 一聲の風。すみやかに妄念の雲をはらふ。(五一)正坐
Z08_0073A20: 十劫の月。をのづから信樂の露にうかぶ。げにたれか
Z08_0073B01: 往生をとげざらんと。まめやかにたのもしくこそ覺
Z08_0073B02: ゆれ。(五二)又(五三)(ドン)(ラン)の釋には。(五四)至極無生
Z08_0073B03: 淸淨寶珠の名號といへり。(五五)たとへば。淨摩尼珠
Z08_0073B04: といふたまを。にごれる水に(イル)れば。水たちまちにす
Z08_0073B05: むなるやうに。名號のたまを。くちのうちにふくみぬ
Z08_0073B06: れば。妄念のつみのにごりすみて。心の水きよくなり
Z08_0073B07: ぬ。(五六)一念に八十億劫の生死のつみを滅すとい
Z08_0073B08: へるも。か〻るゆへなるべし。(五七)さて〱かやう
Z08_0073B09: に。一念も往生にふそくなき事をき〻て。かならずし
Z08_0073B10: も數遍をはげまずともなど。申すやから侍るやら
Z08_0073B11: ん。(五八)それは本願をあしく心得たる人也。(五九)
Z08_0073B12: 法然上人の御す〻めには。(六〇)信を一念にとりて。
Z08_0073B13: 行を多念にはげめ。一念なを生ず。いはんや多念をや
Z08_0073B14: との(宣)給へり。(六一)一念もうまる〻とは。本願を
Z08_0073B15: 信ずるやうをいふ。多念にはげめとは。起行をす〻む
Z08_0073B16: る力を申也。(六二)一念も往生すと信ずるによりて。
Z08_0073B17: 多念はげまざるは。信の行をさまたげたる也。多念は
Z08_0073B18: げめとす〻むるによりて。一念をかろしむるは。行の
Z08_0073B19: 信をさまたげたる也。(六三)すべからく安心をば。か
Z08_0073B20: まへてやはらかにとりて。(六四)起行をばいか程も。

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