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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0071A01: へは。往生せんとおもひたちて。南無阿彌陀佛と。一
Z08_0071A02: 聲となへはじめぬるが。一念をもかならずうまれし
Z08_0071A03: めんとちかひ給ふ本願のなかに。おさまりそ(初)む
Z08_0071A04: るより。十こゑになれば。十念をもといふ願におさま
Z08_0071A05: り。一期申ぬれば。一形をもといふ願におさまる也。
Z08_0071A06: されば。我らはしどけ四度計。なくとな(唱)へゐたれ
Z08_0071A07: ども。佛は一こゑもきこしめしすごさず。みな若不生
Z08_0071A08: 者。不取正覺といふ。本願のなかにうけとり給て。(一〇)
Z08_0071A09: 佛力守護すれば。六塵のぬす人にもかす(劫)められ
Z08_0071A10: ず。(一一)三毒の火にもやかれずして。(一二)一念よ
Z08_0071A11: り一形にいたるまで。みな決定往生の業となる也。
Z08_0071A12: (一三)是名正定之業。順彼佛願故と釋する。この心な
Z08_0071A13: るべし。(一四)こゑにつきて決定往生の思をなせと
Z08_0071A14: いふ。げにもいはれたり。(一五)()(キヤウ)よりも。紫雲より
Z08_0071A15: も。南無阿彌陀佛とゝな(唱)ふるこゑに。すぎた
Z08_0071A16: る往生のしるし(驗)やは侍るべき。(一六)かまへてた
Z08_0071A17: ▲。とかくのうら思(慮)なく。ま(眞)心に念佛して
Z08_0071A18: 本願にあづけたてまつり給へ。いのちをはらん時。佛
Z08_0071A19: たしかに返したまはすべし。(一七)それをこそ最後
Z08_0071A20: の念佛にも。し侍らんずれば。臨終の十念は。佛の御
Z08_0071B01: はからひにて相違あるべからず。(一八)かやうに。う
Z08_0071B02: しろめたからぬ(窘影護)慈悲の父母にて。心やすくう
Z08_0071B03: しろみ(後見)給ふうへは。(一九)南無阿彌陀佛と〻
Z08_0071B04: なへて。よろづは佛にまかせたてまつるべし。(二〇)
Z08_0071B05: さてこそ念佛のこゑをば。綠子(孩子)の哭(ナク)する
Z08_0071B06: こゑのごとしとも釋したれ。(二一)たとへば。おさな
Z08_0071B07: (幼)き子のあしてもた〻ず。物もえいはぬは。うへた
Z08_0071B08: るにも。さむきにも。た▲母をかこ(託)ちて。なくよ
Z08_0071B09: りほかの事なし。母そのこゑをき〻ぬれば。かならず
Z08_0071B10: ゆきてたすく。うへたるらんとおもへば。むねをひら
Z08_0071B11: きてちぶさ(乳房)(一本作房)をふく(含)め。さむかるらん
Z08_0071B12: と思へば。ふところにいれて。はだへをあた〻む。され
Z08_0071B13: ばうへをやすめ。さむさをやむるは。ひたすら母のち
Z08_0071B14: からにあり。わび(佗)て。なくばかりこそ。子のわざ
Z08_0071B15: にては侍るやうに。(二二)我らが身の。智慧の心もさ
Z08_0071B16: かしからず。(不黠)行のあしてもた〻ぬ事は。おさな
Z08_0071B17: き子よりも。なををろかなれども。さすが。ありはて
Z08_0071B18: ぬ世も。あぢきなく。ながきまよひもかなしければ。た
Z08_0071B19: すけ給へと佛をかこちて。南無阿彌陀佛と〻な(唱)
Z08_0071B20: ふるほかは。はげみえたるかたなし。(二三)佛このこ

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