ウィンドウを閉じる

Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0050A01: は。いか▲と思ふより。佛にはとをざかり。(八七)わ
Z08_0050A02: ろきにつけても。さりとては。たすけ給へと思ふより。
Z08_0050A03: 佛にはちかづきたてまつるなり。(八八)本願によ(倚)
Z08_0050A04: り。の(離)きのさかひ(界)は。この心のす〻(進)みし
Z08_0050A05: りぞ(退)くあは(交)ひにて侍るべし。(八九)すなは
Z08_0050A06: ち(九〇)善導大師の。(九一)南無者卽是歸命との給
Z08_0050A07: へるも。南無といふは。たすけ給へといふことば(言)
Z08_0050A08: と釋する也。そのことばのした(下)に三心あるべけ
Z08_0050A09: れば。亦是發願廻向之義ともいふなるべし。阿彌陀佛
Z08_0050A10: 者。卽是其行とは。助け給ふべき本願の名號なればな
Z08_0050A11: り。しかれば。南無阿彌陀佛と〻な(唱)ふるは。たす
Z08_0050A12: け給へ阿彌陀佛といふことばなり。いふことばに。思
Z08_0050A13: ふ心はあらはる〻ゆへに。(九二)南無阿彌陀佛と。と
Z08_0050A14: なふることばに。たすけ給へ阿彌陀佛とおもふ心あ
Z08_0050A15: りとしられたり。これによりて。十こゑ佛をねんずれ
Z08_0050A16: ば。十願十行ありといへり。以テノ此義。必
Z08_0050A17: との給へば。たのもしかるべき事ぞかし。(九三)
Z08_0050A18: されば。と(左)してもかく(右)しても。つみふかき
Z08_0050A19: 身のかこつかたには。たすけ給へとにてあるべき也。
Z08_0050A20: (九四)世にこえたる御慈悲なればとおもふのみこ
Z08_0050B01: そ。又なくたのもしき事にては侍るめれ。(九五)さて
Z08_0050B02: さて。このごろの(ガク)(シヤウ)たちの中に。かく罪人をすてぬ
Z08_0050B03: 本願の。心やすき事を申たてんとて。罪をは▲かるま
Z08_0050B04: じきやうに。いひなさる〻人おほし。(九六)さればと
Z08_0050B05: て。つみをよき物といはんとにては。よも侍らじなれ
Z08_0050B06: ども。ひが〱しからん機は。き〻あやまりぬべきぞ
Z08_0050B07: かし。さればすゑ〲には。邪見なる義ども〻。きこ
Z08_0050B08: ゆるにや。返々あさましき事也。(九七)すべて罪をか
Z08_0050B09: へりみぬものは。身のわろき事をしらず。身のわろき
Z08_0050B10: 事をわすれぬれば。又たすけ給へとおもふ心もなし。
Z08_0050B11: たすけ給へと思ふ心をす〻めんためにも。ことに罪
Z08_0050B12: 業をおそるべき也。本願にほこりて。つみを心やすく
Z08_0050B13: おもはん人は。はじめは信心のあるに〻たりとも。の
Z08_0050B14: ちにはたすけ給への心もなくなるべし。よく〱よ
Z08_0050B15: うい(用意)あるべき事をや。(九八)又人のつねにう
Z08_0050B16: たがひあ(堪)ひたるやうは。たとへば。智惠才學は
Z08_0050B17: いらずトノ字ヲ入テ見ルベシ。もあれ。おなじくたすけ給へと思
Z08_0050B18: ふとも。骨髓にとお(ほ)り(徹)て。ふか〻らんこそ
Z08_0050B19: 往生をもせめ。我らが心は。さまでもなし。た▲かた
Z08_0050B20: (形)のやうなる心ざしにては。かなふべしともおぼ

ウィンドウを閉じる