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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0049A01: ふと。ねがはざるとのゆへなり。(七三)さて〱。かや
Z08_0049A02: うにあまりたやすき事にて侍るほどに。人ごとにか
Z08_0049A03: へりてはまことしからず思て。さすが。往生ほどの
Z08_0049A04: 大事をとげむには。いかにも智惠もふかく。さとり
Z08_0049A05: (解)もあらん心にて申さん念佛をぞ。佛もうけひき
Z08_0049A06: (承引)給べき。た▲たすけ給へとばかりはかろ〲
Z08_0049A07: しと。事たらぬげに思あひたり。(七四)かやうのうた
Z08_0049A08: がひは。げにもとおぼゆるやうなれども。もとより彌
Z08_0049A09: 陀の本願は。愚智無智のもの〻ためなるに。さやうに
Z08_0049A10: 智惠(性)才學(修)あらん心をと。ちかはれては。
Z08_0049A11: 人をわかぬ(不分)利益ありなんや。(七五)又聖道門
Z08_0049A12: の心は。智惠をきはめて生死をいで。淨土門の心は。愚
Z08_0049A13: 癡にかへりて往生をとぐるゆへに。(七六)自力をも
Z08_0049A14: て。生死をいでんみちにぞゆ〻しく。智惠才學あらん
Z08_0049A15: 心も。大切なるべき他力にすが(把)りて。往生をと
Z08_0049A16: ぐるかたにては。中々。た▲たすけ給へとおもふが。故
Z08_0049A17: 實にて侍る也。(七七)されば法然上人は。(七八)念佛
Z08_0049A18: を信ぜん人は。たとひ一代の法を。よくよく學すとも。
Z08_0049A19: 尼入道の無智のともがらに同して。智者のふるまひ
Z08_0049A20: をせずして。た▲一向に念佛すべしとの給(宣)へり。
Z08_0049B01: (七九)たとへば。人に身をまかせて世をわたらんも
Z08_0049B02: のは。いかにざへかしこ(才賢)く。心すくよか(健)
Z08_0049B03: なりとも。人をたのむ程にては。われはがほならんは。
Z08_0049B04: にく(惡)き心なるべし。(八〇)まして。その身にとる
Z08_0049B05: 所なからんは。をのが程。(八一)うちおもひしりて。か
Z08_0049B06: かるいたづらものに。いさ〻かのなさけをも。のこさ
Z08_0049B07: る〻は。ありがたき心ざしかなと。おもひいれて。心
Z08_0049B08: たらぬ(八二)あやまり。しい(仕出)でたる時も。(八三)
Z08_0049B09: うら〻かにうちむかひ。あさましとわびゐたるむざ
Z08_0049B10: うさ(無造作)には。よくにく(惡)かりぬべきとがなれ
Z08_0049B11: ども。さながら。(皆悉)つみゆるさる〻やうに。源語。
Z08_0049B12: (八四)いまの世の衆生は。たとひ智者(ガク)(シヤウ)なりとも。
Z08_0049B13: そのちからにて。生死をいでん事のかなはずして。
Z08_0049B14: 他力本願をたのむとならば。かひなき(ザイ)を。さりとも
Z08_0049B15: と。をのがちからありがほならんよりは。中々た▲
Z08_0049B16: ひたすら。たすけ給へとにてこそあるべけれ。(八五)
Z08_0049B17: いはんや。戒定慧のとる所もなく。貪癡瞋のあやまり
Z08_0049B18: のみ。おほからん身には。いよ〱さりとてはと。うち
Z08_0049B19: たのみたてまつらん心にぞ。佛もよろづはおもひゆ
Z08_0049B20: るし給べき。(八六)されば。か〻るをろかなる身にて

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