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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0048A01: 本願のかたうど(方人)の。ことにたのもしく。おぼえ
Z08_0048A02: 侍るぞとよ。(五七)三に廻向發願心といふは。別の子
Z08_0048A03: 細なし。(五八)た▲申す念佛を。極樂に廻向して。まめ
Z08_0048A04: やかに往生せんとねがふをいふ也。(五九)さてさて。
Z08_0048A05: かやうにくはしく申わ(分)けば。中々事おほ(多)く
Z08_0048A06: して。かへりて詮なるべきところやかくれぬらん。
Z08_0048A07: (六〇)た▲三心のおほすがた(大體)は。此詞は。歌〓にある事也。
Z08_0048A08: まことしく。本願信じて。往生せばやと思へとにて侍
Z08_0048A09: なり。(六二)又詮ずるところ。三心とは。本願をたの
Z08_0048A10: むこ〻ろにて侍れば。佛たすけ給へと。思ふ心だにも
Z08_0048A11: あれば。三心はおのづからその中におさまるべきな
Z08_0048A12: り。(六二)しかるゆへは。罪おほき身のあさましけれ
Z08_0048A13: ば。佛ならではいかで(爭)とおぼゆるにつけてこそ。
Z08_0048A14: たすけ給へともおもはるれば。深信もこれにこもれ
Z08_0048A15: り。(六三)そのたすけ給へとおもふ心には。露のいつ
Z08_0048A16: はりもなきぞかし。それをこそ。至誠心とも申せ。(六四)
Z08_0048A17: このたすけ給へと思ふは。やが(頓)て廻向發願心に
Z08_0048A18: て侍る也。(六五)あまりにつたなくなりて。心のいたり
Z08_0048A19: すくなき身には。本願いしいしの事までも。猶おもひ
Z08_0048A20: わ(分)きがたかめれば。それにつけても。わづかにた
Z08_0048B01: すけ給へとばかりこそ。おもひえつべき心にては侍
Z08_0048B02: れ。(六六)これ程の事は。又たれかおもはでもあらん
Z08_0048B03: なれば。みな往生はしつべくこそあれ。(六七)三心の
Z08_0048B04: ゆくゑもしらぬ。あやしのめのわらはべ(童女)など
Z08_0048B05: の。往生する心づかひは。みなこのつら(列)にてこ
Z08_0048B06: そ侍らめ。(六八)た▲し。三心こま〲とならひしりた
Z08_0048B07: る人も。念佛うち申てゐたる。つねの心づかひは。た
Z08_0048B08: だたすけ給へと。もたる〻なめり。(六九)されば阿
Z08_0048B09: 彌陀佛をたのみたてまつりて。往生をねがふほどの
Z08_0048B10: 人は。智惠あるも。智惠なきも。おちつく所はみなひ
Z08_0048B11: としき心もち也。(七〇)さてこそ念佛の功德をう(得)
Z08_0048B12: る事も。往生のほい(本意)をとぐる事も。智者なれ
Z08_0048B13: ばとても。まさらず。愚者なればとても。おとらず。か
Z08_0048B14: しこきも。おろかなるも。おなじく佛のむかへにあづ
Z08_0048B15: かり。たかきも。いやしきも。ともに花のうてなには
Z08_0048B16: のぼるらめ。(七一)おほかた三心は。かならずしもなら
Z08_0048B17: ひておこすべき物にあらず。た▲往生だにもしたくな
Z08_0048B18: りぬれば。おのづからぐ(具)する事にて侍る也。(七二)
Z08_0048B19: されば。智者の往生せぬもあり。愚者の往生をするも
Z08_0048B20: あり。これみな。しるとしらざるとにはよらず。ねが

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