浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0047A01: | せんことのうれしさよと。うら〱(遲々)と他力に |
Z08_0047A02: | 思ひつかせむとなり。(四〇)たとへば世のなかのなら |
Z08_0047A03: | ひも。さこそあれ。かなしく。かずにもあらぬ身となり |
Z08_0047A04: | ぬればこそ。わ(佗)びてはす▲ろに世もした(慕)は |
Z08_0047A05: | しく。人のなさけも。ことにうれしくおぼゆるやう |
Z08_0047A06: | に。(四一)わが身の罪惡深重なることを。よく〱お |
Z08_0047A07: | もひしりてこそ。(四二)か〻るをすてぬ本願とき(聞) |
Z08_0047A08: | かんも。いと▲(彌)かたじけなくはおぼえぬべけれ。 |
Z08_0047A09: | (四三)かの聖道の修行におもむく人は。初心より極 |
Z08_0047A10: | 佛の思をなすゆへに。凡身のあなうら(蹠)にと▲こ |
Z08_0047A11: | ほらず。佛祖のいた▲きをこ(越)えんとおもへり。さ |
Z08_0047A12: | れば自身卽佛とおごりて。他力本願をおと(貶)し |
Z08_0047A13: | 傍源語。めたり。(四四)この淨土の出離をもとむるもの |
Z08_0047A14: | は。鈍根無智の機なるがゆへに。緣を本願にか(假)ら |
Z08_0047A15: | ずしては。運を穢方につく(竭)しがたし。傍慈恩語これに |
Z08_0047A16: | よりて。身を出離の緣なきものと。くだしはて〻。た |
Z08_0047A17: | のみを。超世の願にかくる心をおこさしむる也。(四五) |
Z08_0047A18: | たとへばよの中の人のありさまも。あやしきしばの |
Z08_0047A19: | いほりにすめども。あるじとなる時は。おごるけしき |
Z08_0047A20: | あり。(四六)いみじき玉のうてなにまうで〻も。やつ |
Z08_0047B01: | こ(奴)となるおりは。へ(謙)る心あるがごとし。(四七) |
Z08_0047B02: | 我人にしたがふと。我人をしたがふるとは。その心も |
Z08_0047B03: | ち。かはることなり。(四八)聖道淨土の。修行の用心 |
Z08_0047B04: | のたがひめは。これになずらへてしりぬべし。(四九) |
Z08_0047B05: | されば往生を期せん人は。かへす〲おこ(嗚呼)の |
Z08_0047B06: | き(氣)なく。身のほどをしり給へとよ。(五〇)さもげ |
Z08_0047B07: | に。わろき身ぞかしな。(五一)おもひと思ふ事は。のち |
Z08_0047B08: | の身のあだ(怨)なしとなすことは。この世のいとな |
Z08_0047B09: | み。惡をなす時は。寢食もなをわすれ。善をなす時は。起 |
Z08_0047B10: | 居みなわづらはし。か〻るあさましきとが(過)は。身 |
Z08_0047B11: | ながらもさすがにおぼゆらん。出離の緣なき身とは。 |
Z08_0047B12: | あらが(爭)ふところなかるべし。(五二)三惡の火坑。 |
Z08_0047B13: | あしにまかせてい(入)りなんとす。永劫の苦果。な |
Z08_0047B14: | にとかせんとするや。(五三)しかるに彌陀如來。かや |
Z08_0047B15: | うのつたなきものをたすけんために。本願をおこし |
Z08_0047B16: | 給ふによりて。わづかに一世の勤苦をも(以)て。なが |
Z08_0047B17: | く九品の快樂をうけん事は。かぎりなき悅ぞかし。 |
Z08_0047B18: | (五四)あやうしな。(五五)この本願にあはざらましか |
Z08_0047B19: | ば。かなしくからきめは見てまし物をと。(五六)うし |
Z08_0047B20: | ろめたき心のあたの。傍歌語。身をはなれぬにつけても。 |