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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0047A01: せんことのうれしさよと。うら〱(遲々)と他力に
Z08_0047A02: 思ひつかせむとなり。(四〇)たとへば世のなかのなら
Z08_0047A03: ひも。さこそあれ。かなしく。かずにもあらぬ身となり
Z08_0047A04: ぬればこそ。わ(佗)びてはす▲ろに世もした(慕)は
Z08_0047A05: しく。人のなさけも。ことにうれしくおぼゆるやう
Z08_0047A06: に。(四一)わが身の罪惡深重なることを。よく〱お
Z08_0047A07: もひしりてこそ。(四二)か〻るをすてぬ本願とき(聞)
Z08_0047A08: かんも。いと▲(彌)かたじけなくはおぼえぬべけれ。
Z08_0047A09: (四三)かの聖道の修行におもむく人は。初心より極
Z08_0047A10: 佛の思をなすゆへに。凡身のあなうら(蹠)にと▲こ
Z08_0047A11: ほらず。佛祖のいた▲きをこ(越)えんとおもへり。さ
Z08_0047A12: れば自身卽佛とおごりて。他力本願をおと(貶)し
Z08_0047A13: 源語。めたり。(四四)この淨土の出離をもとむるもの
Z08_0047A14: は。鈍根無智の機なるがゆへに。緣を本願にか(假)ら
Z08_0047A15: ずしては。運を穢方につく(竭)しがたし。慈恩語これに
Z08_0047A16: よりて。身を出離の緣なきものと。くだしはて〻。た
Z08_0047A17: のみを。超世の願にかくる心をおこさしむる也。(四五)
Z08_0047A18: たとへばよの中の人のありさまも。あやしきしばの
Z08_0047A19: いほりにすめども。あるじとなる時は。おごるけしき
Z08_0047A20: あり。(四六)いみじき玉のうてなにまうで〻も。やつ
Z08_0047B01: こ(奴)となるおりは。へ(謙)る心あるがごとし。(四七)
Z08_0047B02: 我人にしたがふと。我人をしたがふるとは。その心も
Z08_0047B03: ち。かはることなり。(四八)聖道淨土の。修行の用心
Z08_0047B04: のたがひめは。これになずらへてしりぬべし。(四九)
Z08_0047B05: されば往生を期せん人は。かへす〲おこ(嗚呼)の
Z08_0047B06: き(氣)なく。身のほどをしり給へとよ。(五〇)さもげ
Z08_0047B07: に。わろき身ぞかしな。(五一)おもひと思ふ事は。のち
Z08_0047B08: の身のあだ(怨)なしとなすことは。この世のいとな
Z08_0047B09: み。惡をなす時は。寢食もなをわすれ。善をなす時は。起
Z08_0047B10: 居みなわづらはし。か〻るあさましきとが(過)は。身
Z08_0047B11: ながらもさすがにおぼゆらん。出離の緣なき身とは。
Z08_0047B12: あらが(爭)ふところなかるべし。(五二)三惡の火坑。
Z08_0047B13: あしにまかせてい(入)りなんとす。永劫の苦果。な
Z08_0047B14: にとかせんとするや。(五三)しかるに彌陀如來。かや
Z08_0047B15: うのつたなきものをたすけんために。本願をおこし
Z08_0047B16: 給ふによりて。わづかに一世の勤苦をも(以)て。なが
Z08_0047B17: く九品の快樂をうけん事は。かぎりなき悅ぞかし。
Z08_0047B18: (五四)あやうしな。(五五)この本願にあはざらましか
Z08_0047B19: ば。かなしくからきめは見てまし物をと。(五六)うし
Z08_0047B20: ろめたき心のあたの。歌語。身をはなれぬにつけても。

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