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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0026A01: らが機と心と行とは。あまりよはくして。畢竟往生の
Z08_0026A02: 用にた〻ず。本願にすがるまでなり。●(一一七)乘我
Z08_0026A03: 願力の四字を。くはへ給ふは此心なり。蓮生法師。此心
Z08_0026A04: をよめる歌に。おもひたつ心はかりをしるへにて。わ
Z08_0026A05: れとはゆかぬ道とこそきけ。是はうつの宮の蓮生なり●(一一八)た▲
Z08_0026A06: 佛の願力のみにて。むまるべくもなきものが。むまる
Z08_0026A07: 〻事なるに。念佛宗の案內しらぬ人は。わが心のいみ
Z08_0026A08: じくわが行のよき力にて。往生すべしとおもへり。是
Z08_0026A09: 身に應ぜぬ事なり。摠じて凡夫の身として。報土にむ
Z08_0026A10: まるべきいはれなし。まして極惡のわれら。いかでか
Z08_0026A11: のぞみをもかくべき。たとひいかなる心行ありとも。
Z08_0026A12: 凡夫の分齊なにほどの事かあらん。○かひなくとは。
Z08_0026A13: かひ〲しくもなき心なり。貝なしといふ詞は。竹取物語より出たり○功とは
Z08_0026A14: 大乘義章。功能ナリ。善資潤福利之功
Z08_0026A15: 已上○ひたすらは。ひとへにた▲とい
Z08_0026A16: ふ心なり。一向の字なり。○おほけなきとは。身に應
Z08_0026A17: ぜぬ事なり。凡祕鈔に無應氣と書たり。慈鎭和尙の歌云云●(一一
Z08_0026A18: 九)わがはげみにてする往生とおもふゆへ。安心も
Z08_0026A19: たらず。起行もなをたらぬやうにのみおぼえて。いつ
Z08_0026A20: も往生にうたがひあるなり。○す▲ろとは。河海抄に。
Z08_0026B01: 無端の字なりといへり。心ならずといふ義なり。わが
Z08_0026B02: 身をかへり見て。何となくうたがはしきやうにおも
Z08_0026B03: はる〻なり。●(一二〇)西要抄。念佛するをば。お
Z08_0026B04: さなき子の。ふかきあなにおちて。父母をさけびよば
Z08_0026B05: ふにたとへたり。それいかによばふとも。おのがちか
Z08_0026B06: らにてはあがらめや。た〻きこえてたすけられん事
Z08_0026B07: をのみこそおもふらめ。稱名の用意これになずらへ
Z08_0026B08: てしりぬべし。いかほど多念にはげむとも。おのがち
Z08_0026B09: からにては。かなふまじければ。た▲いくたびも佛に
Z08_0026B10: うれへきこへて。他力の往生をとげんとなり云云。此
Z08_0026B11: 中卷にいはく。されば穢土をいで。淨土にむまれん事
Z08_0026B12: は。しかしながら佛の御ちからなり〓たすけ給へとお
Z08_0026B13: もひて。名號をとなふるのみぞ。おのがはげむところ
Z08_0026B14: なり云云。○なを他力の名義細釋は。西要抄の上卷を
Z08_0026B15: みるべし。

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