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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0027A01: 歸命本願鈔上末諺註
Z08_0027A02: 又修行者とひていはく。(一)本願のなかなの十方衆生
Z08_0027A03: といふは。惡人をもて本とすべしと。のたま(宣)はせ
Z08_0027A04: つれば。その機にもる〻ものは。あるまじきなめり
Z08_0027A05: と。まめやか(眞成)にたのもしけれども。(二)たちか
Z08_0027A06: へり。又わが身のありさまをおもひと(解)くには。なを
Z08_0027A07: うたがひの。のこらざるにあらず。(三)そのゆへは。か
Z08_0027A08: やうにすがたは。黑衣なりといへども。こ〻ろは(ハク)(ゾク)
Z08_0027A09: よりもにごれり。(四)あやまりて出家のかたちをかり
Z08_0027A10: て。()(セイ)(ワウ)(ワク)のはかりごと(謀)し。沙門の名をぬすみ
Z08_0027A11: て。名聞利養のなかだち(媒)とせり。これ無刀の大賊
Z08_0027A12: ヌスヒト)なり。劫盜(カスメヌスム)よりもつみあらんかし。(五)
Z08_0027A13: たま〱うちしづまる時は。又妄念こ〻ろにきほひ
Z08_0027A14: (競)て。念佛はた▲口ばかりなり。(六)あまりなるには。
Z08_0027A15: 人はよも推量の詞これ程もあらじ。わが身ひとつのくせ
Z08_0027A16: (癖)にこそ歌の詞とまで。おぼゆるにも。か〻らん身の
Z08_0027A17: ありさま(行狀)をば。すこしひきかへてこそ。十方衆
Z08_0027A18: 生のうちにも。いらめとおぼゆるは。ひがこと(僻事)に
Z08_0027A19: 侍るをやといへば。(七)老僧のいはく。あな。事あたら
Z08_0027B01: (新)し。(八)ひたすらにごりにそみたるよりも。中々な
Z08_0027B02: まうかびでは。にては)つみおほき事ぞとはしり給はず
Z08_0027B03: や。(九)されば在家の十惡は。下品上生にむまるれど
Z08_0027B04: も。出家の破戒は。下品中生とこそとかれたれ。(一〇)
Z08_0027B05: すべ(摠)てこのごろのありさまは。世もをしなべ
Z08_0027B06: (押靡)てにごり。人もおなじくつたなければ。よき(善人)
Z08_0027B07: もあし(惡人)きも。た▲いふと。いはぬとにてこそあ
Z08_0027B08: れ。こ〻ろのうちをくらべたらば。いく程のけぢめ
Z08_0027B09: (驗。結目)侍らじかし。(一一)たとへば。それはともかく
Z08_0027B10: もあれ。(一二)まづこの阿彌陀佛を。諸佛にこえ(超)
Z08_0027B11: て。たと(貴)ひたてまつる事は。何ゆへとかしりたま
Z08_0027B12: ふ。(一三)さしもの十惡五逆の機を。わづかに一念十
Z08_0027B13: 念の功にて。たすけ給ふ事の。ならびなき。かたよりこ
Z08_0027B14: そ。超世のほまれ(譽)をもあげて。一代の敎にもほめ
Z08_0027B15: (讚)られ給ふ事にて侍れ。(一四)されば。その本願のお
Z08_0027B16: こり(興起)は。三世の諸佛にもすてられ。十方の淨土
Z08_0027B17: にも入られぬもの〻。惡をおこ(起)し。つみをつく
Z08_0027B18: (造)る事は。あら(暴)き風よりもはげしく。と(駛)き
Z08_0027B19: 雨よりもしげくして。さだめて惡道におちなんとす
Z08_0027B20: るをあはれまんがために。(一五)こ〻ろを五劫の思

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