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J2760 略伝集 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0485A01: 宗の奧義を尋ね如來の正法を探り得んとて岸了上人
J18_0485A02: の席を辭し去り先京師に登り其頃の德望たる師十ケ
J18_0485A03: 谷の忍澂和尚の許に到り其志を演るに澂公即ち師の
J18_0485A04: 神器を感歎して律宗の名匠江州安養寺の章疏を學
J18_0485A05: ふこと二年にして其旨趣を研究し又密乘の灌頂を傳
J18_0485A06: へ兼て天台花嚴を初として諸宗の法門を修學す師性
J18_0485A07: 得惠解天然にして一度眼に觸るれは其義氷の如く消
J18_0485A08: す故に幾程なくして諸宗の學業に通達せりよりより
J18_0485A09: 京師に出て山門三井の學匠に逢ひて天台の法門を討
J18_0485A10: 論し或は南都に行きて法相三論の諸德に因んて各各
J18_0485A11: 宗義を談話するに何れも師の見立つる所の解了に過
J18_0485A12: きさることを悟りて戒山和上の席を去りて寶永二乙酉
J18_0485A13: 春廿四歳にして東武に歸り本師岸了上人に謁して從
J18_0485A14: 來の學する所自己の所解を述ふるに了公云く汝か云
J18_0485A15: ふ所總して甚深にして未曾有の説なれとも其説古人
J18_0485A16: に異にして發明の趣きなれは異見に似て當時に寓せ
J18_0485A17: す自秘して他に向て説くことなかれと深く制せらる師
J18_0485B18: も亦自ら珍藏秘して他言せすと也終に同年の夏首戒
J18_0485B19: 山和上を證明として別行を修行し好相を感相して自
J18_0485B20: 誓受の大乘菩薩の比丘となり名を敬首と改めらる天
J18_0485B21: 竺の法は只一名なれば敢て字を用ひすかくして閑寂
J18_0485B22: の地に獨居し靜かに晝夜不臥聖敎を披覽し三萬の日
J18_0485B23: 課六時の勤行を精修せられしかは本師岸了上人と增
J18_0485B24: 上寺祐天大僧正とはかりて武の綾瀨川の邊り花また
J18_0485B25: の正受院を以て淨土宗の律院となし軌則を定め敬首
J18_0485B26: 和上を以て開山とし正受院に居らしむ當時淨土宗律
J18_0485B27: 院の軌則は此正受院の例を權輿とすかくて岸了上人
J18_0485B28: は新田大光院鎌倉光明寺を經移し京都知恩院に住し
J18_0485B29: て第四十四世たり敬首和上は正受院董職數年の間も
J18_0485B30: 或は江府に寓錫し請に應して淨土の法門を演べ又菩
J18_0485B31: 薩大戒を弘通し僧俗を化益す然るに師の説通途に異
J18_0485B32: にして未聞の談なれは聽く人耳を驚かし或は讃へ或
J18_0485B33: は嘆す享保年中正受院を弟子本明に付屬し退て武陵
J18_0485B34: の下谷に居す居を瓔珞庵と號し書藏を眞如院と稱せ

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