浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0485A01: | 宗の奧義を尋ね如來の正法を探り得んとて岸了上人 |
J18_0485A02: | の席を辭し去り先京師に登り其頃の德望たる師十ケ |
J18_0485A03: | 谷の忍澂和尚の許に到り其志を演るに澂公即ち師の |
J18_0485A04: | 神器を感歎して律宗の名匠江州安養寺の章疏を學 |
J18_0485A05: | ふこと二年にして其旨趣を研究し又密乘の灌頂を傳 |
J18_0485A06: | へ兼て天台花嚴を初として諸宗の法門を修學す師性 |
J18_0485A07: | 得惠解天然にして一度眼に觸るれは其義氷の如く消 |
J18_0485A08: | す故に幾程なくして諸宗の學業に通達せりよりより |
J18_0485A09: | 京師に出て山門三井の學匠に逢ひて天台の法門を討 |
J18_0485A10: | 論し或は南都に行きて法相三論の諸德に因んて各各 |
J18_0485A11: | 宗義を談話するに何れも師の見立つる所の解了に過 |
J18_0485A12: | きさることを悟りて戒山和上の席を去りて寶永二乙酉の |
J18_0485A13: | 春廿四歳にして東武に歸り本師岸了上人に謁して從 |
J18_0485A14: | 來の學する所自己の所解を述ふるに了公云く汝か云 |
J18_0485A15: | ふ所總して甚深にして未曾有の説なれとも其説古人 |
J18_0485A16: | に異にして發明の趣きなれは異見に似て當時に寓せ |
J18_0485A17: | す自秘して他に向て説くことなかれと深く制せらる師 |
J18_0485B18: | も亦自ら珍藏秘して他言せすと也終に同年の夏首戒 |
J18_0485B19: | 山和上を證明として別行を修行し好相を感相して自 |
J18_0485B20: | 誓受の大乘菩薩の比丘となり名を敬首と改めらる天 |
J18_0485B21: | 竺の法は只一名なれば敢て字を用ひすかくして閑寂 |
J18_0485B22: | の地に獨居し靜かに晝夜不臥聖敎を披覽し三萬の日 |
J18_0485B23: | 課六時の勤行を精修せられしかは本師岸了上人と增 |
J18_0485B24: | 上寺祐天大僧正とはかりて武の綾瀨川の邊り花また |
J18_0485B25: | の正受院を以て淨土宗の律院となし軌則を定め敬首 |
J18_0485B26: | 和上を以て開山とし正受院に居らしむ當時淨土宗律 |
J18_0485B27: | 院の軌則は此正受院の例を權輿とすかくて岸了上人 |
J18_0485B28: | は新田大光院鎌倉光明寺を經移し京都知恩院に住し |
J18_0485B29: | て第四十四世たり敬首和上は正受院董職數年の間も |
J18_0485B30: | 或は江府に寓錫し請に應して淨土の法門を演べ又菩 |
J18_0485B31: | 薩大戒を弘通し僧俗を化益す然るに師の説通途に異 |
J18_0485B32: | にして未聞の談なれは聽く人耳を驚かし或は讃へ或 |
J18_0485B33: | は嘆す享保年中正受院を弟子本明に付屬し退て武陵 |
J18_0485B34: | の下谷に居す居を瓔珞庵と號し書藏を眞如院と稱せ |