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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0437A01: のみづから縫てあたへられき。さればこの和尚は。
J18_0437A02: 終身。師を眞の釋迦牟尼佛とぞ仰奉ける。勝尾寺に
J18_0437A03: て。食堂の給仕つとめける頃は。日日垢離をとり
J18_0437A04: て。辨じける。さまざまの感應ありつれども。別記
J18_0437A05: にゆづりて。例の略しつ。天保二年。二月朔日。命
J18_0437A06: 終す。佛蓮社願譽と稱す。
J18_0437A07:
J18_0437A08: 藝州甲立本勵和尚
J18_0437A09: 和尚。號は花光。丹後國。中郡。峯山園田氏の産な
J18_0437A10: り。文化六年。四月十日。家を出。播州書寫山。如
J18_0437A11: 意輪寺にて。みづから落髮して。良師にあふ事を觀
J18_0437A12: 世音へ祈求せらる。其ころ。師を活佛の如に人人申
J18_0437A13: けるを聞て。紀州へゆかばやと。思たちけるに。今
J18_0437A14: は攝州勝尾にましますよし。告る人有ければ。やが
J18_0437A15: て勝尾山にのぼり。師に謁して。弟子の列にいらん
J18_0437A16: 事を乞るるに。このころ。故ありて。入門の人を禁
J18_0437A17: ぜられたりとて。所願を果すことあたはず。さらば
J18_0437B18: とて。坐禪石に坐し。或は瀧谷にこもりて。獨行念
J18_0437B19: 佛す。このほとりは。毒蛇猛獸のおそれあるよしを
J18_0437B20: ききて。一圓相を畵して結界とす。かかる苦業策勵
J18_0437B21: を。いつしか師の聞給ひて。名を本勵と賜て。始て
J18_0437B22: 弟子の列にぞ加へさせ給へり。和尚ある時。眼疾を
J18_0437B23: やみたるころ。夢に開山御作の。藥師如來を感見
J18_0437B24: す。和尚如來に向奉りて。眼疾は業障のなす所。い
J18_0437B25: かんともし難し。あはれ。願はくは。如來の大悲眼
J18_0437B26: をもて。みみにかへ給はば。見佛の縁も。空しから
J18_0437B27: ざるをなど。歎けるに。いくほどなく。眼疾あとな
J18_0437B28: く癒て耳根いつしか不通に也にける。本尊の病をか
J18_0437B29: へ給ひしなるべしと。よろこばれけり。其後師は江戸
J18_0437B30: の小石川一行院に。留錫したまひしころ。和尚はさる
J18_0437B31: べき因縁やありけむ。偶杖をうつして。難波の名蓮
J18_0437B32: 社に來て別行つとめられき。或夜の夢に。大なる涅
J18_0437B33: 槃像を拜す。其形世尊にはあらで。金色の僧の。頭
J18_0437B34: 北面西に臥玉へるなりければ。覺て後。竊に師の入

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