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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0436A01: 對面せんとの玉ふ。和尚。次の間に坐して師の念佛
J18_0436A02: の聲を聞。只人ならぬさまのおもはるるに。やが
J18_0436A03: て。裱〓開きて。いざこれえとて。十念授け給ふ
J18_0436A04: 其御聲微妙にして。耳根に徹し。あたかも活佛の現
J18_0436A05: 前し給ふごとし。高擧の心。忽に消し盡して。とみ
J18_0436A06: に弟子の斑列に加はり。名を德苗とぞ賜りぬ。弘化
J18_0436A07: 二巳年。六月朔日。正念に往生す。廣蓮社濟譽と稱
J18_0436A08: す。
J18_0436A09:
J18_0436A10: 江戸平子山澄禪庵本應和尚
J18_0436A11: 和尚は越後の人なり。若冠のむかしより。あはれ。
J18_0436A12: よき知識にあひて出家せばやとぞおもひける。或
J18_0436A13: 時。江戸に來り。淺草壽松院に。しるべありて。し
J18_0436A14: ばし其寺に住しころある夜。いとたふとさ沙門の。
J18_0436A15: 枕上に來らせ給ひしと見たりき。其時は常の夢也と
J18_0436A16: おもひわきまふる事もなかりしを。西福寺に師を
J18_0436A17: 請じ申しし時。始て謁見したるに。前夜夢に見し沙
J18_0436B18: 門に。容貌いささか。たがはざりしかば。信心肝に銘
J18_0436B19: じて。ただちに。日課一萬稱を誓て。揮毫の名號を
J18_0436B20: ぞ拜受してける。哀かかる師につきてこそ。出家を
J18_0436B21: もすべきなれとおもへども。障る事のみ多くして。
J18_0436B22: いつしか其年も暮ぬ。文化三寅年。四月四日の夜の
J18_0436B23: 夢に。御丈。五尺五六寸もやとおもふばかりの。涅
J18_0436B24: 槃像を見奉るに。やがてたたせ給て。うしろにまは
J18_0436B25: らせ玉ひ。頭の上を兩の御手にて撫させ玉へり。た
J18_0436B26: ふとくうれしさいはむかたなし。其頃。師は。越前
J18_0436B27: 敦賀におはすと。傳ききしかば。おもひたちて同し
J18_0436B28: 年の六月。敦賀にいたりしに妙華谷に。留錫したまふ
J18_0436B29: よしを聞。追て訪奉る。其ころは。本佛ひとりぞ隨
J18_0436B30: 從せられたり。志のほどを述ければ。師。直に剃刀を
J18_0436B31: 取。いざとてうしろにまはらせ。御手の頭上に觸た
J18_0436B32: る時。さいつころ。夢に釋迦牟尼佛の。御手ふれさせ
J18_0436B33: られし所に。露たがはざるに。ただ涙とどめかねたり
J18_0436B34: とぞ。これを袈裟にせよとて。御帷子を賜しを。本佛

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