浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0436A01: | 對面せんとの玉ふ。和尚。次の間に坐して師の念佛 |
J18_0436A02: | の聲を聞。只人ならぬさまのおもはるるに。やが |
J18_0436A03: | て。裱〓開きて。いざこれえとて。十念授け給ふ |
J18_0436A04: | 其御聲微妙にして。耳根に徹し。あたかも活佛の現 |
J18_0436A05: | 前し給ふごとし。高擧の心。忽に消し盡して。とみ |
J18_0436A06: | に弟子の斑列に加はり。名を德苗とぞ賜りぬ。弘化 |
J18_0436A07: | 二巳年。六月朔日。正念に往生す。廣蓮社濟譽と稱 |
J18_0436A08: | す。 |
J18_0436A09: | |
J18_0436A10: | 江戸平子山澄禪庵本應和尚 |
J18_0436A11: | 和尚は越後の人なり。若冠のむかしより。あはれ。 |
J18_0436A12: | よき知識にあひて出家せばやとぞおもひける。或 |
J18_0436A13: | 時。江戸に來り。淺草壽松院に。しるべありて。し |
J18_0436A14: | ばし其寺に住しころある夜。いとたふとさ沙門の。 |
J18_0436A15: | 枕上に來らせ給ひしと見たりき。其時は常の夢也と |
J18_0436A16: | おもひわきまふる事もなかりしを。西福寺に師を |
J18_0436A17: | 請じ申しし時。始て謁見したるに。前夜夢に見し沙 |
J18_0436B18: | 門に。容貌いささか。たがはざりしかば。信心肝に銘 |
J18_0436B19: | じて。ただちに。日課一萬稱を誓て。揮毫の名號を |
J18_0436B20: | ぞ拜受してける。哀かかる師につきてこそ。出家を |
J18_0436B21: | もすべきなれとおもへども。障る事のみ多くして。 |
J18_0436B22: | いつしか其年も暮ぬ。文化三寅年。四月四日の夜の |
J18_0436B23: | 夢に。御丈。五尺五六寸もやとおもふばかりの。涅 |
J18_0436B24: | 槃像を見奉るに。やがてたたせ給て。うしろにまは |
J18_0436B25: | らせ玉ひ。頭の上を兩の御手にて撫させ玉へり。た |
J18_0436B26: | ふとくうれしさいはむかたなし。其頃。師は。越前 |
J18_0436B27: | 敦賀におはすと。傳ききしかば。おもひたちて同し |
J18_0436B28: | 年の六月。敦賀にいたりしに妙華谷に。留錫したまふ |
J18_0436B29: | よしを聞。追て訪奉る。其ころは。本佛ひとりぞ隨 |
J18_0436B30: | 從せられたり。志のほどを述ければ。師。直に剃刀を |
J18_0436B31: | 取。いざとてうしろにまはらせ。御手の頭上に觸た |
J18_0436B32: | る時。さいつころ。夢に釋迦牟尼佛の。御手ふれさせ |
J18_0436B33: | られし所に。露たがはざるに。ただ涙とどめかねたり |
J18_0436B34: | とぞ。これを袈裟にせよとて。御帷子を賜しを。本佛 |