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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0435A01: 精要を説かる。その翌日。西郊の草庵に移り。安政
J18_0435A02: 五年。正月廿二日。正午に寂す。法臘五十五。世壽
J18_0435A03: 七十有五なり。堅蓮社剛譽と稱す。行誡。その中陰
J18_0435A04: より。一周。三回。およびことし七回忌辰の。法筵
J18_0435A05: に列て。聊和尚の盛德を讃嘆す。他日。同生一蓮の
J18_0435A06: 因縁を結ばんが爲なり。南無阿みだ佛
J18_0435A07:
J18_0435A08: 攝州勝尾松林庵本明和尚
J18_0435A09: 和尚。はじめの名を眞龍といふ。京洛の産にして伏
J18_0435A10: 見の里誓願寺に住す。敎相はさらなり。頗禪學に達
J18_0435A11: す。師の高名を聞て。何ものの鼠輩か。かくは雷名
J18_0435A12: を得たる。いざ我一喝を喫せしめて。狐鳴を駭さん
J18_0435A13: とて。勝尾へのぼり。始て。師に謁したるに。奇な
J18_0435A14: るかな。師は熾然たる光焰の中に。安坐念佛し給へ
J18_0435A15: り。ここにおいて驕傲の心。頓に摧け。請て弟子の
J18_0435A16: 列に入。本明とよびて。年ごろ師の室中に給仕せら
J18_0435A17: る。或時勝尾の二階堂にて。大般若經を讀誦せし
J18_0435B18: に。空中に。諸佛現前し給ふを感見す。此時。平常
J18_0435B19: 所持の元祖大師の舍利。一粒分身し給ひぬ。のちに
J18_0435B20: これを本佛に傳ふ。種種の好相あれども別記に出る
J18_0435B21: をもて。ここには略す。天保十一子年。六月十八
J18_0435B22: 日。松林庵において逝す。純蓮社鮮譽と稱す。
J18_0435B23:
J18_0435B24: 攝州灘打出親王寺德苗和尚
J18_0435B25: 和尚は。神情超拔にして。氣調高峙也。世人。師の
J18_0435B26: 德風に麾を。和尚竊にあざみ咲はれて。敬心露ばか
J18_0435B27: りもなかりけり。師一日。現に寺の門前を過られし
J18_0435B28: に。和尚の念佛するを。遙に聞給ひて。この寺の和
J18_0435B29: 尚は。いつもおこたらで念佛する事よと。仰られけ
J18_0435B30: るを。檀越の某。和尚につげて。けふしも。行者の。
J18_0435B31: しかしか。の給ひきと。いへるを聞く。和尚何とか
J18_0435B32: おもひけん。簑笠うちかづき。猛雨を冐して。吉田
J18_0435B33: 氏の家に行て。師に謁見をこふ。をりしも。師。禮
J18_0435B34: 拜念佛し給ふに。其よし告まゐらするに。歡て速に

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