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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0433A01: 心に修行せば。决定して三昧を發得すべし。かつ學
J18_0433A02: 解はもとより佛祖の勸賛する處なれども。自行眞實
J18_0433A03: ならざれば。學をなすも何の益かあらん。今の人。
J18_0433A04: 護法を名として。心は名利に馳す。唯自行を勵べし
J18_0433A05: 化他は期すべきにあらず。かつそれ無常老をまた
J18_0433A06: ず。一息歸らざれば後世に屬す。はたして博識も施
J18_0433A07: す所なく。上求下化も永廢すべし。いま逢難法にあ
J18_0433A08: ふ。寶の山に入て。手を空して歸る事なかれと。懇
J18_0433A09: 切に垂示し玉ふ。この日。法界一如事理融通の旨を
J18_0433A10: 談じ給ふに。師は學ばずして。おのづから佛祖の説
J18_0433A11: に符合す。これより隨從して。名を本洲と改む。山
J18_0433A12: 棲谷陰。形影離る事なし。須が谷住山の間。金色
J18_0433A13: の大黑天。槌をもて俵をたたき。師と同じさまに。
J18_0433A14: 念佛し給へるを感見せられしとぞ。のちに賢洲上人
J18_0433A15: の勸策によりて。傳通院に歸錫し。學席の務に預る
J18_0433A16: 前年の法契わすれがたくて。師を江戸に請じ申けれ
J18_0433A17: ば。師も又因縁を追て來りて。今の白蓮社に寓せら
J18_0433B18: る。江戸に化益を施し給ふは。此大和尚の開導によ
J18_0433B19: れる也。宿契といひつべし。 台命を奉じて。蝦夷
J18_0433B20: の善光寺に住す。夷人の悅服振古その比を見ずとぞ
J18_0433B21: 華頂王府侍讀を厥。大和尚をして院家たらしむ。大
J18_0433B22: 僧都を經て僧正に任ず。辭職の後再び 台命を奉じ
J18_0433B23: て。江戸の誓願寺に住す。止事を得ずして也。いた
J18_0433B24: る處。貴賤服從して。法澤にうるほうもの數をしら
J18_0433B25: ず。天保十四癸卯の年。四月十九日。七十二歳にて
J18_0433B26: 逝す。翔蓮社鳳譽と號す。
J18_0433B27:
J18_0433B28: 江戸一行院本佛和尚
J18_0433B29: 和尚は江州日野の人にして。木村氏の末子なり。小
J18_0433B30: 字を虎之助といへり。總角の昔より。三寶を尊び。
J18_0433B31: 十歳の時。禪衲月山に就て禪理を叩き。趺坐を學ぶ
J18_0433B32: 月山の曰。汝眞箇の虎之助を知るや如何と。この言
J18_0433B33: を聞て省する所あるが如し。しかしより靜室に趺坐
J18_0433B34: すること。いよいよおこたらず。十七歳の時。ある

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