ウィンドウを閉じる

J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0432A01: 堅固なるべき。師。聲をはげしうして。心は行に依
J18_0432A02: て起り。行は心に依て進む苟勤修せずして。道心堅
J18_0432A03: 固なるを求るは。木によりて魚を求るが如しとの玉
J18_0432A04: ふ。又問曰。幾年ばかりをへて。安心の境にいたる
J18_0432A05: べきや。師また訶して曰。世人薄俗にして。事を易
J18_0432A06: 行に託し。早く得法を望む。夫佛道深遠なり。何ぞ
J18_0432A07: 年月を限りて。これを求る事を得んや。すべから
J18_0432A08: く。一切衆生成佛し畢時。はじめて安心すと。しる
J18_0432A09: べしと。ここにおいて。汗背に浹し。言肝に銘じ。
J18_0432A10: 昔。彌勒妙覺に在て。猶不足のおもひ有といへる經
J18_0432A11: 説の疑團も。頓に氷解して。かかる師に就てこそ。
J18_0432A12: 眞の解脱の道は得べしとて。庵にも歸らず。衣鉢を
J18_0432A13: 執て。南紀に從游す。この時。齡二十五歳也。名
J18_0432A14: を本定と改む。鹽津に行かれしころ。一夕。師のさ
J18_0432A15: ま。さながら如意輪觀世音に見ゆ。こはいかにと怪
J18_0432A16: て瞳を定て見奉れば。師常の如く。木鉦を打て念佛
J18_0432A17: しおはしますなり。又。至心に閉目してければ。又
J18_0432B18: 如意輪に見ゆ。六臂に持給へる物ども分明にして。聊
J18_0432B19: も聖像に違ふ事なし。尊さいはんかたなし。しかし
J18_0432B20: よりこのかた。師の凡人ならざる事をぞしりてける
J18_0432B21: と。常に門人にかたられき。後に洛東獅子が谷に住
J18_0432B22: し。再和州當麻奧院に住し。寺職を解。石光寺に閑
J18_0432B23: 居す。天保十一子年。十一月十四日。順世す。審蓮
J18_0432B24: 社諦譽と號す。
J18_0432B25:
J18_0432B26: 江戸誓願寺鸞洲大和尚
J18_0432B27: 大和尚は。筑前の人なり。博多妙圓寺演譽上人の弟
J18_0432B28: 子なり。後に傳通院賢洲上人の門に入。京師游學の
J18_0432B29: 時。師の道德を慕ひて。鹽津にいたるに。師は熊野
J18_0432B30: へ詣給ふと聞て。さらば追つき奉らんとて。道を倍
J18_0432B31: して。兼行し日高郡。吉田村にて謁見す。大和尚。
J18_0432B32: 問曰。本願念佛にて順次出離の事は。我早くこれを
J18_0432B33: 信ず。現前三昧の大益は。澆季の時も得べきや否
J18_0432B34: と。師。答ての給はく念佛の行は他力外に加す。至

ウィンドウを閉じる