浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0422A01: | うけしものも。數千人なりきとぞ。 |
J18_0422A02: | 小石川一行院は。師を抑留の爲に設られし道塲なれ |
J18_0422A03: | ば貴賤道俗おしなべて。心を用ひ莊嚴し。永師を安 |
J18_0422A04: | 置し申さんとて。其年の十一月七日より土を堀。石 |
J18_0422A05: | をはこびはじむ。百工職を勵。萬人力を盡してけれ |
J18_0422A06: | ば。十二月廿三日には。佛殿厨坊を始。門。塀。泉 |
J18_0422A07: | 石に至るまで。殘處なく落成せり。金碧目を輝し。 |
J18_0422A08: | 鐘磬耳を新にす。 |
J18_0422A09: | 文化十五寅年。九月上旬のころより。師年來の痰痎 |
J18_0422A10: | 增長して。音聲枯竭せらる。諸弟子より。醫藥をす |
J18_0422A11: | すめ申といへども。服し給はず。九月十五日。月頃 |
J18_0422A12: | の別時終て。弟子に命ずらく。いまより一七日我爲 |
J18_0422A13: | に念佛を修せよ。わが臨末遠からじと。廿一日別行 |
J18_0422A14: | を終て。御領に懸玉ふ佛舍利を。弟子本佛に授給ふ |
J18_0422A15: | 時。のたまはく。我一夕。金色の辨才天。この寺を |
J18_0422A16: | 圍饒し給ふを見たりき。いまより此天尊をもて。こ |
J18_0422A17: | の寺の鎭守とすべしとの給二十三日。また諸弟子に |
J18_0422B18: | の給はく。我生涯大師の一枚起請をもて。自行化他 |
J18_0422B19: | の鏡とせり。汝等も我とひとしく。此遺訓に隨ふべ |
J18_0422B20: | し。我遺屬。この外に一言ある事なしと。弟子等。 |
J18_0422B21: | 悲感涕泣して。謹で信受す。大僧正の御許にも。こ |
J18_0422B22: | の事聞えければ殊の外におどろかせ給ひて。幹事お |
J18_0422B23: | よび。内外の衆僧に仰て。日日問訊せらる。都下の |
J18_0422B24: | 道俗傳聞して。おなじさまに來て。安否を問奉るも |
J18_0422B25: | の。日夜たゆることなし。 |
J18_0422B26: | 師。一夕。名號一千枚を加持して。一橋前亞相の君 |
J18_0422B27: | に奉らる。前來師資の道契なほざりならざるが故な |
J18_0422B28: | り御館にも。師の違例におどろかせ給ひて。屢屢朝 |
J18_0422B29: | 鮮人參など。おくらせ給へり。大城よりも。一橋の |
J18_0422B30: | 御館に仰て。大漸にいたらざる前に。加持の名號上 |
J18_0422B31: | るべきよしなり。これによりて。西城より德川萬德 |
J18_0422B32: | 寺をもて。御使給はる。この日營中の貴嬪。おほく |
J18_0422B33: | 訪給へり。此頃在府の侯伯みづから來臨し玉ふもあ |
J18_0422B34: | り。あるは家臣をもて。訪ひ給ふもありて日として |