浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0420A01: | 江戸小石川の大佛堂に歸錫せられけり。この際。請 |
J18_0420A02: | 待の寺院。並に士庶の家家。あるは所所の名號塔の |
J18_0420A03: | 染筆。および剃髮日課の結縁。幾千萬なるをしら |
J18_0420A04: | ず。今は其大略を記すのみ。 |
J18_0420A05: | 文化十三年。秋のころより。一橋民部卿殿。御不豫 |
J18_0420A06: | にして。師の歸府をまたせ給ひしかども。かなはせ |
J18_0420A07: | 給はで。閏八月廿八日にかくれさせ玉へり。御臨終 |
J18_0420A08: | いとたうとき御氣しき也きとぞ。年ごろ念佛の御 |
J18_0420A09: | 勤。おこたらせ給はざりける御驗なるべし。御追善 |
J18_0420A10: | にとて。父の卿を始奉り。御兄弟の公達など。御中 |
J18_0420A11: | 陰の間。三百坐の百萬遍をぞ修し玉ひける。御結願 |
J18_0420A12: | の御導師に。師を請じ申されけるは。日ごろまたせ |
J18_0420A13: | 給ひし御志に酬ひ參らせ給へるなるべし。 |
J18_0420A14: | 一橋前亞相の御弟。今の兵部卿殿にも。師をまたせ |
J18_0420A15: | 給ひければ歸府ののち。日數をも經ず。請じ申され |
J18_0420A16: | けり。其日は戌の刻を過して退出せられけれども。 |
J18_0420A17: | 法話は猶説盡し給はざるべし。 |
J18_0420B18: | おなじ年十月十七日。勢州慶光院の尼公一條關白殿御息女御參 |
J18_0420B19: | 詣ありて日課六萬稱を誓はせ給ふ。師。女人往生の |
J18_0420B20: | 旨を。ねもころに説法し給ひければ。御落涙ただな |
J18_0420B21: | らず。いとたうとき事になんおぼし入玉へる御氣色 |
J18_0420B22: | 也ける。 |
J18_0420B23: | 江戸の化益。殊の外盛になりしかば。老嬴に臨み |
J18_0420B24: | て。應接も何となくつかれ玉ふにや。ふたたび勝尾 |
J18_0420B25: | の草庵に歸錫せばやとおぼしけるを。いつしかもれ |
J18_0420B26: | ききけん。道俗おどろきて。いかにもして。此地に |
J18_0420B27: | とどめまゐらせんとおもひける中にも。一橋前亞相 |
J18_0420B28: | の御方には。御臨終の善知識にもなどまで。またな |
J18_0420B29: | くおぼしいれ玉ひたるを。いかでいま御名殘となる |
J18_0420B30: | べきかはとて。近く召つかはるる皆川藤右衞門とい |
J18_0420B31: | ふものを。御使として。我七十歳まではとおもひつれ |
J18_0420B32: | ど。夫までは永しとやおぼさんなれば。いま兩三年 |
J18_0420B33: | のあひだは。留錫あらまほし。其旨方丈より鸞洲。 |
J18_0420B34: | 大基へ申させ給へかしと。增上寺大僧正の御許へ。 |