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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0417A01: をりの事也。三月七日に。大佛堂にかへらる。
J18_0417A02: 同三月廿日。北國化益の道すがら。信州善光寺にぞ
J18_0417A03: 詣給へり。請觀音經に説せ玉へるを見るに。この本
J18_0417A04: 尊は。むかし月盖長者の門閫に。示現し給て。五種
J18_0417A05: の惡病を對治し給ひたる。一光三尊の靈像にて。百
J18_0417A06: 濟國より此の日の本に渡御ましまししなり。消伏毒
J18_0417A07: 害の御光。末法萬年の暗を。照させおはします事
J18_0417A08: の。かたじけなさに。幾たびか詣させ玉ひし。その
J18_0417A09: 度度。遠近の道俗競ひ來て。御堂の内外。錐をたつ
J18_0417A10: るの地もなし。この地群集は常の事なれども。かく
J18_0417A11: までの有樣は。絶て見聞に及ばずと。古老のものは
J18_0417A12: 申あへりきとぞ。寬慶寺といへる寺に。逗留のこ
J18_0417A13: ろ。或夕まのあたり靈像室内に來現し給ふ。師。兩
J18_0417A14: の手をのべ給ひければ。本尊その上にたたせ玉へ
J18_0417A15: り。一切衆生を救はせ給へと。念じ奉られけるに。
J18_0417A16: やがて空中にのぼらせたまひぬ。御雙足微溫にし
J18_0417A17: て。人肌の如く。重さは二歳ばかりの小兒に似るや
J18_0417B18: うなりと覺きと。後に本佛に語らせ給ひき。善光寺
J18_0417B19: の古縁起には。本尊にあたたまりおはしますよし。
J18_0417B20: しるし傳へたれど。後のよには。さる勝相。絶果け
J18_0417B21: らしとのみ。思ひ侍りしを。師の感見の。まのあた
J18_0417B22: りここにおよばれしは。よにいみじくめづらしうな
J18_0417B23: ん。抑冷暖は四天の轉變にして。奇しきわざにはあ
J18_0417B24: らざめれど暖動のあとをもて。隨類の御利益をしめ
J18_0417B25: し給ふなん。尊き御示現とや申べき。二月堂の十一
J18_0417B26: 面の御像に暖氣おはしてけるを。東大寺の實忠大德
J18_0417B27: のをがませ給ひしよし。元亨釋書に見ゆ。やごとな
J18_0417B28: き御像には。かかる勝相も。時としては。あらはれ
J18_0417B29: 玉ふいはれあるべきにや。
J18_0417B30: 六月八日。戸隱山へ登り給ふ。德善院より案内しけ
J18_0417B31: れば。奧院の大久保より中院まで四十七丁。中院より奧院まで三十丁。其下に兩社あり。社にて法
J18_0417B32: 樂し給ふ。德善院順庵および妙行院。智泉院など。
J18_0417B33: みな六萬遍の日課を誓ふ。この日。山に名號塔建た
J18_0417B34: きよし。乞によりて。かきて授らる。師。後に本佛

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