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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0416A01: 序なりとて。御寺に請じ給ひけり。供養のために。
J18_0416A02: 手なれし琴一曲奏してんとて。新に琴うた作給ひ
J18_0416A03: て。それをなん彈ぜられける。師うちゑみて。あな
J18_0416A04: めづらし。弦歌の菩薩の心地ぞするとの給ひけり。
J18_0416A05: 此尼公は何の道にも堪能の譽ありて。選擇集の和讃
J18_0416A06: も。この日に出來ぬとぞ聞えし。ここより三が浦を
J18_0416A07: 經て。西浦賀。東うらがの寺院處處に請ぜられ玉ひ
J18_0416A08: しを大かたにして。覺榮寺より。御船にて。神奈川
J18_0416A09: まで。海路を歸らせ給ひけり。浦浦より漁船出き
J18_0416A10: て。御船を曳こと數かぎりなかりき。傳通院より
J18_0416A11: は。大基和尚。御迎として。侯ぜらる。未の刻ばか
J18_0416A12: りに。大佛堂に歸着せ給ひけり。この間の結縁幾千
J18_0416A13: 萬ともかぞへ難しとぞ。
J18_0416A14: 下總國。下小堀の淨福寺は。記主禪師の開基にて。
J18_0416A15: いまの住持は。先年勝尾にて。一夏安居せられし人
J18_0416A16: なり。ことし子年二月のころ。この寺の請に應ぜら
J18_0416A17: る。ここより鹿島は遠からぬよしなれば。拜禮し玉
J18_0416B18: はんとて立出給ふ。領主内田矦も。師を恭敬の餘
J18_0416B19: り。船三艘を出して。小見川を渡さる鹿島の神領の
J18_0416B20: 内は。道路に盛砂して。非常を警しめ。師を迎まゐ
J18_0416B21: らす。群集の人を押わけて。師の法駕を華表ちかく
J18_0416B22: 舁よするに。廟祝あまた立出て案内しければ導れ
J18_0416B23: て。神前において。法樂せらる。禰宜立原某の家に
J18_0416B24: て。休息せられたるに。内外の男女。おびたたしく
J18_0416B25: いで來て。十念をうく。むかし了譽上人。權禰宜治
J18_0416B26: 部少輔の請に應じて。佛經講じ給ひしのちは。唯一
J18_0416B27: のとなへ嚴にして。三寳の因縁薄かりけるを。師の
J18_0416B28: いま神前にて。十念の結縁有しは。いとめづらかな
J18_0416B29: りとて其ころ世に稱讃しあへり。こは二月廿五日の
J18_0416B30: ことなりき。其日。又銚子の淨國寺の請に應じ給
J18_0416B31: ふ。住持の上人は。江戸靈巖寺の一﨟職たりしを。
J18_0416B32: 請じてこの寺に住持せしめたる也。師に歸仰し奉こ
J18_0416B33: と。他に異にして。やがて名を德鎧と賜り。弟子の
J18_0416B34: 數に入ぬ。大鹿の弘經寺にして。三日の攝化もこの

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