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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0414A01: 堂の東の方に堂一宇を建て。安置し參らす。いまの
J18_0414A02: 行者堂これなり。弟子本佛和尚。佛舍利をもて。肖
J18_0414A03: 像の腹内にをさめらる。立慶は。京四條にすめる佛匠なり。師に歸仰の志ふかくて。其かみ師の
J18_0414A04: 勝尾山居の時。いかにもして。眞影を彫刻せばやとおもひはかりて。刀をくだすに。幾度もこころにかなはず。これによりて。誓て一百
J18_0414A05: 日を期して。勝尾山に籠居し。日日面謁を乞て。のちに彫刻せしに。毫髮もたかふ事なくよくも似玉へりけり。今の大佛堂に安置さる眞
J18_0414A06: 影。一行院の付屬の眞影。みな同作にて。師の康存の日になれりしものなり
J18_0414A07: 同年六月廿日。師はじめて三縁山に登て。大僧正敎
J18_0414A08: 譽大和尚に謁せらる。僧正歡喜斜ならず。淸談時を
J18_0414A09: 移し。願はくは永この地に錫を留めて。群生を利益
J18_0414A10: し給へかし。けふは幸に營中の女房達來ませるを。
J18_0414A11: 結縁玉へかしとて。禮貌懇篤比類なし。かくて神殿
J18_0414A12: の御唐戸際に法坐をまうけ。御十念給ひて暫御説法
J18_0414A13: ありけり。人人眞佛に見え奉やうにおぼえて。五體
J18_0414A14: 投地して崇敬を盡さる。おなじ廿二日紀伊殿の赤坂
J18_0414A15: の御舘へまゐらる。豐姬君の御かた。轉心院殿をは
J18_0414A16: じめ。内外の男女。日課誓受せられしもの。三百九
J18_0414A17: 十八人也。
J18_0414B18: 同年十月廿四日。一橋御舘へ請ぜらる。民部卿殿。
J18_0414B19: 兵部卿殿。乘蓮院の御方。其餘君達姬君のこりなく
J18_0414B20: 見えさせ給ひて。十念うけさせらる。この日神田橋
J18_0414B21: 亞相公の後に從一位儀同三司に敘任し。薨逝ありて。大相國最樹院殿と稱し奉る。御舘に請ぜら
J18_0414B22: る。三歸戒を受させられ。日課六萬稱を誓給へり。
J18_0414B23: 其頃慈德院の君大城の御實母。贈一品大夫人 御違例にて。醫藥驗も
J18_0414B24: 見え給はざりければ。師を御枕べに請ぜられたる
J18_0414B25: に。師 懇に鉦うちならし。念佛し給ひて退出せら
J18_0414B26: れたり。しばしがほどに。御ここ地。のごひたるや
J18_0414B27: うに覺ゆとて。御起居もややおだやかにならせ給ひ
J18_0414B28: ぬ。翌月の七日に。御床拂せさせ給へり。抑廣濟厄
J18_0414B29: 難の功德より。救療三垢の利益あらはれて。かばか
J18_0414B30: りの御障も。速に消除せしめ給ひたるなるべし。こ
J18_0414B31: れしかしながら師の行德のかがやく所より。かかる
J18_0414B32: 感應もあらはれ玉へる也とて。高きもひききも。擧
J18_0414B33: て感じ申さぬはなかりき。しかしよりこのかた。師
J18_0414B34: を眞佛の如に仰がせ給ひて。御崇敬めざましきまで

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