浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0412A01: | ひぬ。序よしとや。公卿の簾中女房達も多くましり |
J18_0412A02: | おはしましぬ。 |
J18_0412A03: | 十九日。京師を發錫せらる。日を經て桑名の渡につ |
J18_0412A04: | き給ふころは。師の下向をいつしか傳へ承けん。夥 |
J18_0412A05: | 群集たとふるにものなし。からうじて。御こしを船 |
J18_0412A06: | にのせまゐらす。送り參らせんとて。桑名より船多 |
J18_0412A07: | く漕出たるに。宮の驛よりも。御迎にとて。出來る |
J18_0412A08: | 船みなひとつになりて。七里の海上大かたは御供の |
J18_0412A09: | 船ども連れりけり。宮の驛には正覺寺を始として。 |
J18_0412A10: | 遠近の寺寺の請待に應じ給ふ。其道すがらも。道俗 |
J18_0412A11: | あまた寄つどひて。御輿の前後に立ふたがり。十念 |
J18_0412A12: | こひければ。御供の人人は殆行惱みけり。池鯉鮒の |
J18_0412A13: | 驛にては。群集の人人。雲霞の如にて。御輿。寸步 |
J18_0412A14: | も進こと能ざれば。已事を得ずして。ある家の檐に |
J18_0412A15: | 登りて。十念授け給へり。大井川にては。川越のも |
J18_0412A16: | のどもあまた磧に出て。我がらに 御輿を連臺にの |
J18_0412A17: | せ參らせ。島田の驛までかき上。裸體のまま沙の上 |
J18_0412B18: | にひれ伏て。十念授りけり。荒井箱根の關門をよぎ |
J18_0412B19: | り給ふに。關守人人たち出て。十念受しとぞ藤澤の |
J18_0412B20: | 驛には。御迎として。鸞洲上人を初め。道俗あまた |
J18_0412B21: | 集ひ待參らす。ここより鎌倉の光明寺に參堂し給ひ |
J18_0412B22: | ぬ。ついでをもて英勝寺へも。請ぜらる。神奈川の |
J18_0412B23: | 驛を經て江戸に着せ給へるは。六月十二日也けり。 |
J18_0412B24: | 淸淨心院は。小石川。傳通院の境内にありて。享保 |
J18_0412B25: | の災にかかりし人の爲に。塚を立られし處なり。鳳 |
J18_0412B26: | 譽鸞洲上人蝦夷の善光寺を辭して此寺を退隱の地と |
J18_0412B27: | 定らる。ある時上人隅田川のほとりを逍遙せられけ |
J18_0412B28: | るに。或寺に丈六の阿彌陀如來を。檐下におき參ら |
J18_0412B29: | せて。その御膝のほとりは。麥藁などつみかさねた |
J18_0412B30: | り。あなかしこ。いかにしてかかるぞと問るに。老 |
J18_0412B31: | 法師の立出て。過しころまでは。さるべき御堂あり |
J18_0412B32: | て。居奉りしを。一とせ大風に吹倒されしのち。再 |
J18_0412B33: | 興のすべもあらねば其儘になれりし也といふ。あは |
J18_0412B34: | れこの本尊われにたびてんやといはれければ。子細 |