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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0412A01: ひぬ。序よしとや。公卿の簾中女房達も多くましり
J18_0412A02: おはしましぬ。
J18_0412A03: 十九日。京師を發錫せらる。日を經て桑名の渡につ
J18_0412A04: き給ふころは。師の下向をいつしか傳へ承けん。夥
J18_0412A05: 群集たとふるにものなし。からうじて。御こしを船
J18_0412A06: にのせまゐらす。送り參らせんとて。桑名より船多
J18_0412A07: く漕出たるに。宮の驛よりも。御迎にとて。出來る
J18_0412A08: 船みなひとつになりて。七里の海上大かたは御供の
J18_0412A09: 船ども連れりけり。宮の驛には正覺寺を始として。
J18_0412A10: 遠近の寺寺の請待に應じ給ふ。其道すがらも。道俗
J18_0412A11: あまた寄つどひて。御輿の前後に立ふたがり。十念
J18_0412A12: こひければ。御供の人人は殆行惱みけり。池鯉鮒の
J18_0412A13: 驛にては。群集の人人。雲霞の如にて。御輿。寸步
J18_0412A14: も進こと能ざれば。已事を得ずして。ある家の檐に
J18_0412A15: 登りて。十念授け給へり。大井川にては。川越のも
J18_0412A16: のどもあまた磧に出て。我がらに 御輿を連臺にの
J18_0412A17: せ參らせ。島田の驛までかき上。裸體のまま沙の上
J18_0412B18: にひれ伏て。十念授りけり。荒井箱根の關門をよぎ
J18_0412B19: り給ふに。關守人人たち出て。十念受しとぞ藤澤の
J18_0412B20: 驛には。御迎として。鸞洲上人を初め。道俗あまた
J18_0412B21: 集ひ待參らす。ここより鎌倉の光明寺に參堂し給ひ
J18_0412B22: ぬ。ついでをもて英勝寺へも。請ぜらる。神奈川の
J18_0412B23: 驛を經て江戸に着せ給へるは。六月十二日也けり。
J18_0412B24: 淸淨心院は。小石川。傳通院の境内にありて。享保
J18_0412B25: の災にかかりし人の爲に。塚を立られし處なり。鳳
J18_0412B26: 譽鸞洲上人蝦夷の善光寺を辭して此寺を退隱の地と
J18_0412B27: 定らる。ある時上人隅田川のほとりを逍遙せられけ
J18_0412B28: るに。或寺に丈六の阿彌陀如來を。檐下におき參ら
J18_0412B29: せて。その御膝のほとりは。麥藁などつみかさねた
J18_0412B30: り。あなかしこ。いかにしてかかるぞと問るに。老
J18_0412B31: 法師の立出て。過しころまでは。さるべき御堂あり
J18_0412B32: て。居奉りしを。一とせ大風に吹倒されしのち。再
J18_0412B33: 興のすべもあらねば其儘になれりし也といふ。あは
J18_0412B34: れこの本尊われにたびてんやといはれければ。子細

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