浄土宗全書を検索する
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| 巻＿頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J18_0410A01: | に造らしめ給へりしとぞ。事終りて。總持寺へかへ |
| J18_0410A02: | らせ玉ひき。 |
| J18_0410A03: | 廿九日。國君の請によりて。登城し給ふ。御坐の間 |
| J18_0410A04: | を道塲と定め。御正服にて十念請させ給ふに。御褥 |
| J18_0410A05: | を用ひ玉はず。かくて館中の行化も果ぬれば。翌日 |
| J18_0410A06: | は御先塋にて。念佛會あり。種種の御布施どもあり |
| J18_0410A07: | て。六月朔日にぞ御暇賜り。和佐山の庵室に歸ら |
| J18_0410A08: | る。この後屢屢召に應じて。登城し給ひき。 |
| J18_0410A09: | この國君を。舜恭院殿と稱し奉る。中納言より。 |
| J18_0410A10: | 大納言に累遷し給ひ。御隱棲ののち。從一位に叙 |
| J18_0410A11: | し給ふ。師の法孫後年に至りても。修行事かかぬ |
| J18_0410A12: | 爲にとて。無量光寺を造營し給ひ。恩施幾多を寄 |
| J18_0410A13: | 給ふ天保の子年。江戸一行院にも。本堂再建を命 |
| J18_0410A14: | じ給ふ。一行三昧院の扁額は。すなはち。此君の |
| J18_0410A15: | 御染筆なり。 |
| J18_0410A16: | 元祖大師の。月輪禪閤の請に趣かせ給ひし御軌式に |
| J18_0410A17: | もをさをさおとり給はじなど人人申あひたるもこと |
| J18_0410B18: | わりなりけり。 |
| J18_0410B19: | 和佐山住庵のころ。或夜。更闌人靜て獨念佛してお |
| J18_0410B20: | はしけるに。いと氣高神女の見えさせ給ひて。こは |
| J18_0410B21: | 我年久しく住る山なるを。たまたま師の來臨を得 |
| J18_0410B22: | て。いとよろこばしとぞ告給へりける。此山に高明 |
| J18_0410B23: | 神と稱せる社は。古人は多賀の御前といふ師。翌朝その社に詣で |
| J18_0410B24: | 懇に法樂せらる。かかる事三たびなりきとぞ。又こ |
| J18_0410B25: | の山の麓に歡喜寺といへる臨濟宗の寺あり。其頃の |
| J18_0410B26: | 住持某。師に歸依して。幸に善知識に逢て。大悟發 |
| J18_0410B27: | 明せりといへりき。 |
| J18_0410B28: | 增上寺大僧正。典海大和尚。兼て師の道德稱歎し給 |
| J18_0410B29: | ひ。あはれ關東へ請じ申さまほしとおぼして。鸞洲 |
| J18_0410B30: | 上人に。其事をぞはからはせ給ける。上人弘法の緖 |
| J18_0410B31: | を得たるをよろこびて。其ころ。大基和尚の京師に |
| J18_0410B32: | 遊學せられたるを使として紀州和佐山の草庵へ。そ |
| J18_0410B33: | のよしを申さる。師も。大僧正の護法の御志を感荷 |
| J18_0410B34: | して。關東下向を志し。いくほどなく。和佐山を發 |