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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0403A01: られしにや。呼かへして對面せられける。のちに師
J18_0403A02: の爲に。華嚴經の大旨を講ぜられしに。律師の學
J18_0403A03: 解。やや大菩薩の悟道にせまれり。栂尾の明惠上人
J18_0403A04: の再來にやなど。師ものたまへり。或人の。師は非
J18_0403A05: 學生なりなといひけるを。律師傳聞て。令與修多羅
J18_0403A06: 合と申さずや。念佛三昧の行者は。世に輕んすべか
J18_0403A07: らず。今の學生達は。口空を説て。心有に著すなる
J18_0403A08: をとぞいはれける。開解。立行は。佛家の基本た
J18_0403A09: り。兩大德の。互に歎美せられしは。いと殊勝の事
J18_0403A10: にこそ。
J18_0403A11: 師。或時名號多く書せ給ひし紙の上に。大さ小豆ほ
J18_0403A12: どの。琥珀の色なる一粒の舍利。忽然として現れ。
J18_0403A13: 光まばゆきまでなり。師。の給はく。是は予が授り
J18_0403A14: しなるべしとて。かねて襟にかけ給へる舍利塔にぞ
J18_0403A15: 收給へりける。
J18_0403A16: 越前國。大原山に。妙華谷といへる處あり。滿谷。
J18_0403A17: 山芹菜のみ生じて。見渡ば。さながら白浪のたてる
J18_0403B18: やうなり。文化三年正月中旬より。八日十五日ま
J18_0403B19: で。この谷にて別行勤たまふ。いつのころにか。松
J18_0403B20: の嵐。瀑布の音も。なべて南無阿彌陀佛の聲に聞へ
J18_0403B21: ける事のありしとぞ。阿彌陀經にとける。皆悉念佛
J18_0403B22: の勝境の。現ぜしなるべしといと殊勝の事にこそ。
J18_0403B23: 平生の御言葉に。我。念佛する時は即阿彌陀なり。
J18_0403B24: 説法する時は即釋迦なり。とぞのたまひける。聖道
J18_0403B25: 門にはかかる傳へもあれど。淨土宗にては。かくま
J18_0403B26: でには申さぬぞ敎限なるべきを。師の自得し給へる
J18_0403B27: さま。おのづから經論の至理に符合せるを。其まま
J18_0403B28: 仰られしも。いとめづらしくなん。
J18_0403B29: 或僧。草庵を訪ひけるに。汝このごろ。何事にか慢
J18_0403B30: 心おこせる。我今まどろめる夢に。鼻のながさ。こ
J18_0403B31: の花瓶などなる人の。わが傍に寢てありき。其着た
J18_0403B32: る衣。汝が衣のいろと同じ事なりき。故にかくは問
J18_0403B33: ぞとの給ひけるに。身の毛いよだちかしこまりて十
J18_0403B34: 念うけて歸けり。この僧のちに人にかたりていへ

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