浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0402A01: | す。華表のほとりにて。錫杖つきならし會釋し給ふ |
J18_0402A02: | さま。さながら出迎ふる人のありげなり。かくて社 |
J18_0402A03: | には拜殿も本殿も扉みなひらけて。燈臺の類すべて |
J18_0402A04: | 火を點じたり。暫法樂して歸らる。翌朝。社の別當 |
J18_0402A05: | 慈眼院。師のもとに詣來て。よべは參詣ましました |
J18_0402A06: | るよし。けさこそ承り侍れ。頗無禮のかしこまり申 |
J18_0402A07: | さんとて。まゐれりといふ。さてはよべのともし火 |
J18_0402A08: | は人の所作にはあらざりきと。けしうも。めづらし |
J18_0402A09: | き事になん人人申あへり。 |
J18_0402A10: | 文化紀元の夏のころ日光拜禮の歸途。小金の東漸寺 |
J18_0402A11: | をとふらはる。貫首宣契大和尚は。增上寺統譽大僧 |
J18_0402A12: | 正の嫡弟にて。當世の名德なり。かねて師の道德を |
J18_0402A13: | 慕給ひければ。今日しも邂逅の謁見をよろこばれ |
J18_0402A14: | て。問て曰。師は衆人に日課念佛つとめよと勸給へ |
J18_0402A15: | り。師にもみづから日課の數は。定させ給ふにや |
J18_0402A16: | と。師。の玉はく。念念不捨に念佛して。晝夜しば |
J18_0402A17: | らくも間斷なければ。日課を定むる事なしと。大和 |
J18_0402B18: | 尚重て。念念不捨とは申せども一食の間も。猶間斷 |
J18_0402B19: | あり。况。師は平生念佛の御いとま。説法に力を用 |
J18_0402B20: | ひ給ふ事なれば。無間修の名は如何にやと申されけ |
J18_0402B21: | るに。師。忽容を改て。昔八耳の太子は。八人の奏 |
J18_0402B22: | 問を一齊に聞せ給しときく。吾は四歳の時より無間 |
J18_0402B23: | 修の行者也。たとひ八耳太子にはおよばずとも念 |
J18_0402B24: | 佛。説法の兩途を一時に勤に。何の難き事かあら |
J18_0402B25: | ん。大和尚には。未念佛の數のたらぬより。かかる |
J18_0402B26: | 疑の生じ給へる也と申されたる時。大和尚始て。師 |
J18_0402B27: | の實地の修行者なる事を。感佩し給ひしとぞ。 |
J18_0402B28: | 洛東。獅子谷。法然院の住持。聖阿上人は。師の |
J18_0402B29: | 山居の弟子にて名を本定とぞ申ける。されば師。上 |
J18_0402B30: | 京の時には。いつも此寺にぞ止宿せられける。その |
J18_0402B31: | 頃。典壽律師と聞えしは。やごとなき學生にて。常 |
J18_0402B32: | 常大小の敎典を。この谷の金毛院にぞ講ぜられけ |
J18_0402B33: | る。ある時。師の歸らせ給へる背後の御姿の。明障 |
J18_0402B34: | 子の隙より見えたるに。はじめて非凡の人なるを知 |