浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0401A01: | るなりけり。夫剃除は。華嚴經に讃ずる處。これを |
J18_0401A02: | 長ずるは涅槃のいましめなれば。三寶海に入もの。 |
J18_0401A03: | 誰か沙門の正儀を守らざる事を得んや。近ごろ。師 |
J18_0401A04: | のむかしの閑居獨處の顰にならひて。有髮に袈裟を |
J18_0401A05: | きたる法師どもの。俗間に遊行することあり。非儀 |
J18_0401A06: | 非法のいたり。深いましむべきをや。 |
J18_0401A07: | 同年の十一月。關東下向を催さる。宗門の規式なれ |
J18_0401A08: | ば。師家の傳法をも乞。かつは東漸の化益もなどお |
J18_0401A09: | ぼしけるより。東海道を經て。江戸に着せらる。小 |
J18_0401A10: | 石川傳通院の鸞洲上人は。昔山居のをり。かねて契 |
J18_0401A11: | おかせ給ひければ。やがて此寮を。留錫の處とは定 |
J18_0401A12: | 給ひぬ。時の貫首君譽智嚴大和尚は。師の招ざるに |
J18_0401A13: | 來られしをよろこび。我爲の不請の友なりとて。同 |
J18_0401A14: | 冬十二月。別に道塲をひらき。宗戒兩脈。および布 |
J18_0401A15: | 薩の法式等。のこる處なく相承し給ふ。宗規の相傳 |
J18_0401A16: | 畢て。貫首大和尚のいへらく。曾て聞。師。山居の |
J18_0401A17: | 際。兩祖の直授を得られたりと。願はくはこれを聞 |
J18_0401B18: | んと。ここにおいて。師。掩事なく。感得の旨を述 |
J18_0401B19: | らる。のぶる處。宗義の肝要を得て。代代相傳の旨 |
J18_0401B20: | に符合せざる事なしとて。深く感られたり。相承の |
J18_0401B21: | 印信にとて。大和尚より。三卷書籍。並に宗祖大師 |
J18_0401B22: | 眞筆の名號を。師に贈らる。大和尚。後に知恩院に |
J18_0401B23: | 住して。大僧正に任ぜらる。文化六年七月。入寂の |
J18_0401B24: | 前。師勝尾寺より。錫を飛し上洛して。臨終の御善 |
J18_0401B25: | 知識をつとめられき。宿縁のひく處なるべしとて。 |
J18_0401B26: | 人人尊びあへりけり。 |
J18_0401B27: | 同じころ。一夜深更に十念を授給ふ聲の聞えけれ |
J18_0401B28: | ば。大基和尚和尚。常に師のかたはらをはなれず。説法のたびごとに。三歸の維那をつかさごれり。福智兼備の |
J18_0401B29: | 人也。後に傳通院學頭より。尾州建中寺に住し。賜紫の榮あり。年八旬にあまりて。今なほ建中寺の別坊に隱居せらるあや |
J18_0401B30: | しみて。師に尋奉りければ。いま老狐の來りたるに |
J18_0401B31: | 授たりきと申さる。そは當山の鎭守澤藏司明神の使 |
J18_0401B32: | 者なるにやなど申ければ。さらば其社に行て法樂せ |
J18_0401B33: | ばやとて立出給ふ。更闌て人をおどろかさんもわづ |
J18_0401B34: | らはしとて。和尚みづから提灯てらし案内しまゐら |