浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0400A01: | のなし。其後は毎月十五日を定日となし。二階堂を |
J18_0400A02: | 道塲として。別時念佛をぞ執行せられける。 |
J18_0400A03: | 師先頃坊の島にやすらはれける時。一天俄にかき曇 |
J18_0400A04: | り疾雷一聲して。忽雲散ず。登山ののち第二日の |
J18_0400A05: | 夜。夢に黄牛を抱くと見給ふ。むかし開乘皇子。此 |
J18_0400A06: | 山に住玉ひて。般若を書寫し給へりし時の。前兆に |
J18_0400A07: | 符合せるも。不思議なる事にぞ有ける。抑この寺は。 |
J18_0400A08: | 善仲。善算の。現身往生の舊跡にて證如上人修焉の |
J18_0400A09: | 靈地なりとて。宗祖圓光大師も。この峰にて。四年 |
J18_0400A10: | 籠居の勝蹟なり。師もかかるいはれのただならざる |
J18_0400A11: | より。年を重て。此には住給ひけるなるべし。 |
J18_0400A12: | 琢定沙彌は。もとは尾州圓成寺の法弟なりしが。師 |
J18_0400A13: | の道德に歸して松林庵に入衆してけり。或時。釋迦 |
J18_0400A14: | 如來の尊像を刻。師に開眼を乞けるに。師見給て。 |
J18_0400A15: | 此尊像いまだ螺髮ととのはずとの給ひければ。琢定 |
J18_0400A16: | かしこまりて。其夜竊に螺髮を彫奉るとて。まづ御 |
J18_0400A17: | 頂に墨をぬりけり。あけの朝。師。の給ひけるは。 |
J18_0400B18: | 昨夜の夢に。汝。我頭に墨をぬりしとみたりきと。 |
J18_0400B19: | 仰られけるを聞て。琢定全身に汗出て。師の内證の |
J18_0400B20: | ただならぬをかしこみ申ける。 |
J18_0400B21: | 或人。師には一向に助業を用ひ給ふ事なきは。何の |
J18_0400B22: | 故ぞと問奉りければ。我とても助業は用るなり。汝 |
J18_0400B23: | しらずや。大小の食と。大小の便とは。これ我らが |
J18_0400B24: | 念佛の助業也とぞ申されける。いとをかしかりける |
J18_0400B25: | 御示しなり。助業の事は。さまざまの相傳あること |
J18_0400B26: | なるを。この一轉語は。常格を超て。師の平生精修 |
J18_0400B27: | のありさまを見るにたれり。 |
J18_0400B28: | 享保三亥年十月。京都獅子が谷。法然院にて鬚髮を |
J18_0400B29: | そり。内衣を用られけり。出家の後。今に至るま |
J18_0400B30: | で。大方は山居巖棲を常とし。苦修練行。寸陰を惜 |
J18_0400B31: | まれけるより。いつしか剪爪除髮の事さへ。はぶか |
J18_0400B32: | れけるを。この頃は。やや化他の因縁熟して。人氣 |
J18_0400B33: | 近く住給ひけるにぞ。長髮長爪いかにも異相なり。 |
J18_0400B34: | 沙門の正儀にあらずとて。眞の比丘形には復し給へ |