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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0392A01: 御姿は。猶空中にほのぼのとたたせ玉へり。朝霧た
J18_0392A02: ち籠て。御膝より下は定かには見えざりけり。妖女
J18_0392A03: 攫し跡。暫の間臭氣うせざりしをおもへば。夢にて
J18_0392A04: は非りけりとぞの給ひし。又或時。師繩床に坐し。
J18_0392A05: 閉目念佛しておはせしが。目を開ての給ひけるは。
J18_0392A06: 何者なるか吾胸の上に。大山を投かくるかと思ひた
J18_0392A07: りしを。忽金剛力士あらはれ給ひて。是を退け給ひ
J18_0392A08: きと語らる。抑金剛力士は。賢劫千佛の佛法を。守
J18_0392A09: 護せさせ玉へる本誓の趣。寶積經密跡金剛力士會に
J18_0392A10: 見えたり。されば師の行法。よく佛意に應ぜられた
J18_0392A11: るより。おのづからかかるいちぢるき擁護をも。蒙
J18_0392A12: らせ給へるなるべし。いと尊くこそ。
J18_0392A13:
J18_0392A14:
J18_0392A15:
J18_0392A16:
J18_0392A17: 德本行者傳上之卷
J18_0392B18: 德本行者傳中之卷
J18_0392B19:
J18_0392B20: 攝洲灘吳田に吉田道可居士といふ人あり。其子を喜
J18_0392B21: 平次といふ。寬政九年の春の頃。居士。熊野詣の歸
J18_0392B22: るさ。有田川の邊にて。須ケ谷山に。念佛の行者お
J18_0392B23: はすよしを聞て。結縁のため。若山の人人ととも
J18_0392B24: に。須ケ谷に至。師の十念を拜受す。素より結界の
J18_0392B25: 外にて。遙に山上を仰見るまでなれば。いと殘多く
J18_0392B26: て。いかで對面乞て。親しく御敎示をなどおもへど
J18_0392B27: かひなし。歸りて後も。常に其事いひ出しとぞ。喜
J18_0392B28: 平次もとより至孝なる人にて。殊に父の志を繼。三
J18_0392B29: 寶に歸する心深かりければ。父の。師に結縁したる
J18_0392B30: ことを承りしより。そぞろに尊くなつかしくて。遙
J18_0392B31: なる紀路の遠山にうち向。朝夕にささげものなどし
J18_0392B32: て。禮拜し。或は便求て。屢屢香木など供養し參ら
J18_0392B33: す。其懇篤の情。きく人涙落墮ばかり也けり。同年
J18_0392B34: の卯月ばかり。思おこして南紀へぞ赴きぬ。師は人に

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