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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0386A01: は。全衆生共業のなす處なり。三寶の冥慮もいかが
J18_0386A02: あらんとて。雨乞はとどめられにけり。其後數日の
J18_0386A03: 間。雨降ざりければ。人人師の言の空からざるを感
J18_0386A04: じあへりき。
J18_0386A05: 同年十月の頃より。百日を期して別時念佛せらる。
J18_0386A06: 庵室の戸を釘にて閉。言語を絶し。睡眠を廢し。口
J18_0386A07: 唱一行。勇猛精進也。食物には。豆の粉一合を。一
J18_0386A08: 日の料とせらる。翌年の正月。別行滿足し。つづき
J18_0386A09: て七ケ日水食を絶し。別行を修せらる。勵聲念佛猛
J18_0386A10: 鋭なる事。前時の別行に倍せり。
J18_0386A11: 同六年五月のころ。祖師の廟を拜せん爲に上京せら
J18_0386A12: る。淸淨華院の貫首大和尚しる人なりければ。まづこ
J18_0386A13: れを訪れけるに。貫首よろこびて。師を山内の松林
J18_0386A14: 院に請じて。留錫せしめらる。あけの朝。華頂山に
J18_0386A15: 登らる。抑吉水の禪房大谷の道塲は。開宗の勝地。終
J18_0386A16: 焉の舊跡なり。昔はかたばかりの御草庵なりしを。
J18_0386A17: 今は大廈高堂。玉をみがき。いらかをならべたり。
J18_0386B18: 都てこれを利物偏增の砌にしてしかしながら見佛聞
J18_0386B19: 法の勝地なりければ。感涙今さらとどめ難く。懇に
J18_0386B20: 上酬慈恩の持念をぞこらされける。この序よかりし
J18_0386B21: かば。京師の祖跡靈塲は。おほかた拜禮せられにけ
J18_0386B22: り。
J18_0386B23: 或日。比叡山巡拜の序。大原を經て。古知谷に到ら
J18_0386B24: るるをりから。彈誓上人の忌辰にて。人多參籠せる
J18_0386B25: に。十念を授らる。師此ころまでは。頭髮肩にた
J18_0386B26: れ。錫杖を突たるさまを見て。彈誓上人の再來なる
J18_0386B27: べしなど土人は申合けり。
J18_0386B28: 同年の九月のころ。熊野へ詣んとて。鹽津を出立給
J18_0386B29: ふ。隨身の僧侶わづかに五六人なり。ある山路に
J18_0386B30: て。一人の童子をみる。疥癩の如にて。いときたな
J18_0386B31: げなるに。何となく威儀を備たるさまなり。人人の
J18_0386B32: 念佛申つつ行くを見て。殊の外に悅びたる景色にて
J18_0386B33: 過去ぬ。翌日たち出たるに。また向より件の童子來
J18_0386B34: るを見る。師いと恠て。童子はただ人にはおはさ

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