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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0382A01: びただし。其さま古綿の如なるものの。或は赤く。
J18_0382A02: あるひは黄なるが。多く下れり。十二三日過て平癒
J18_0382A03: せり。自おもへらく。受胎の毒液。この時悉脱しさ
J18_0382A04: れるなるべし。其後は一しほ身のかろき事を覺たり
J18_0382A05: と後日語れたりき。
J18_0382A06: 又或時申されける口稱の南無阿彌陀佛をもて。本尊
J18_0382A07: とすなれば。いまは泥木塑像に望なしとて
J18_0382A08: 本願のそのいにしへをわすれずは
J18_0382A09: 我なすわざにさはりあらすな
J18_0382A10: とぞくちずさみ給へりける。
J18_0382A11: 其後ますますはげしく苦行せれしかば。兩の股腫た
J18_0382A12: だれ。惡汁流出る事涌が如くにして。其痛堪がた
J18_0382A13: し。藥を用れどもかひなし。皮肉裂破れ。あたかも
J18_0382A14: 藥研の口のごとし。されども例時の勤行は少しもお
J18_0382A15: こたらず。唯禮拜せらるるに。五體投地はかなはざ
J18_0382A16: りしかば。小高處に腰うち懸て拜し。あるひは立な
J18_0382A17: がら勵聲念佛せられたり。そのころの口ずさみとて
J18_0382B18: 世をのがれうきよの中は腰かけの
J18_0382B19: いづこも旅のおもひなりけり
J18_0382B20: かくなやみ給ふ事。凡百五十日ばかりなり。或時み
J18_0382B21: づから呵しての給はく。今かかる病惱にあふ事は。
J18_0382B22: みな宿世の業報なり。自作り。みづから受。誰をか
J18_0382B23: 恨たれをかとがめん。我宿因つたなくして。今日ま
J18_0382B24: で如説修行せざりしにより。かかる困苦を受たり。
J18_0382B25: 今生もし懈て勤ずんば。未來の苦患。今日に百倍す
J18_0382B26: べしとて。みづから誡自勵して。いよいよ苦修せら
J18_0382B27: れけり。
J18_0382B28: 或時。縁山の學侶訪ひ來りて。數十日の間。師の御
J18_0382B29: 許に居て。ともに念佛せり。其人。師にかたりける
J18_0382B30: は。昔。彈誓。澄禪の兩大德は。木食草衣にて。
J18_0382B31: 久しく山居修行し給ひしよしなり。おもふに。師が
J18_0382B32: 今の行業と甚相似たりとぞ申ける。師これを聞て。
J18_0382B33: 我もとより。其志ありとて。其よりは五穀を絶。
J18_0382B34: 鹽氣あるものを甞ずして。愈精修せられたり。蠶豆

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