浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0367A01: | ず。一生不犯にして。またよく葷肉斷ぜり。身器淸 |
J18_0367A02: | 淨なること。淸風朗月のごとし。一步といへども私 |
J18_0367A03: | 意にあぐることなく。一念といへども己情にしたが |
J18_0367A04: | はず。このゆゑに。遊山翫水。愛花賞月。みなこれ |
J18_0367A05: | をなさず。儉素節量。垢衣素食せり。日課念佛。誓 |
J18_0367A06: | 約一萬遍なりといへども。平生三萬稱をとなふ。晨 |
J18_0367A07: | 昏禮誦誓て怠らず。若長壽ならましかば。よく人天 |
J18_0367A08: | の依賴ともなるべかりしに。知命にいたらずして身 |
J18_0367A09: | まかりぬるこそ。實に惜むべし。去去年先師に別 |
J18_0367A10: | れ。この秋法兄もまたゆけり。別涙袂をしぼりて。 |
J18_0367A11: | 草木も露になくかと覺ふ。同月六日。遺骸を甕に收 |
J18_0367A12: | めて。先師のかたはらに埋葬しはべる。かくて弟子 |
J18_0367A13: | 察元本山に聞して。許命を蒙り。その席を補せり。 |
J18_0367A14: | 今先師行業記を修するのちなみ。法兄の小傳を加へ |
J18_0367A15: | て。後の法孫に傳ふ。若これをよみて。いささかも |
J18_0367A16: | 感ずることあらば。報恩の一端にもなり侍らんかし |
J18_0367A17: | 沙門隆圓謹誌 |
J18_0367B18: | 來迎寺縁起 |
J18_0367B19: | 但州豐岡來迎寺は。攝州勝尾寺第四の座主。勝如上 |
J18_0367B20: | 人の開基にして。往昔は光明堂と云り。此號かりそ |
J18_0367B21: | めに設るにあらず。勝如上人。貞觀八年八月十五日 |
J18_0367B22: | の夜。加古の敎信の告を得給ひしより。易行の念佛 |
J18_0367B23: | かへりて。不輕無言の難行にまさることを自得し。 |
J18_0367B24: | 多年住山の苦修をさし置。專稱名號の行人となり給 |
J18_0367B25: | ひき。猶そのよろこびにたえず。廣く勸誘のため |
J18_0367B26: | に。諸州をめぐり。當國今の寺境にいたり給ふと |
J18_0367B27: | き。一道の光明。土中より發り。須叟に虚空に遍滿 |
J18_0367B28: | せり。この祥瑞を感見ありしかば。これ念佛有縁の |
J18_0367B29: | 勝地を。佛陀の顯示しましますにそと。しばらく |
J18_0367B30: | ここに錫をとどめ。庵をむすびて。もはら念佛を讃 |
J18_0367B31: | 説し給ふに。慈雲あまねく覆ひて。緇素をわかた |
J18_0367B32: | ず。法雨ひとしくそそぎて。智愚をゑらばざりしか |
J18_0367B33: | ば。平等廣濟の益ことに盛なりしとなん。かかり |
J18_0367B34: | しかば。その草庵を光明堂とよびにけり。上人の餘 |