ウィンドウを閉じる

J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0274A01: んより。いそぎ念佛申べし。儀式が惡さにはあらね
J18_0274A02: ども。それにて往生もなるやうに心得て。念佛を第
J18_0274A03: 二にせざれといふこころなり。但臨終の儀式は時の
J18_0274A04: 宜きにしたがひ。念佛ばかりを往生の。みやげにせ
J18_0274A05: んと思ふべきなり。
J18_0274A06: 又いはく。名聞利養を求ることなかれ。多聞廣識を
J18_0274A07: 貪ることなかれ。ほぼ我門の大旨をしらば。唯一心
J18_0274A08: に道を修し。業事成辨を期とすべし。若は五年。若
J18_0274A09: は三年萬事を放下せば。癡鈍の者といへども。何事
J18_0274A10: か成ぜさらん。悠悠として空しく過さば。いづれの
J18_0274A11: 年にか道に入らん。無常迅速にして。生死きはまり
J18_0274A12: なし。よろしく心をいたして勤むべし。或は業成を
J18_0274A13: 期するに堪へざるも。萬事を放下し。畢命を期とし
J18_0274A14: て念念相續すべし。又獨處閑居其貴む所なりといへ
J18_0274A15: ども。羸劣にして堪へざるものは。それまたいかが
J18_0274A16: せん。たとひ寺院に住するとも。敢て修補營造をこ
J18_0274A17: ととすることなかれ。道心の中に衣食あり。專心に
J18_0274B18: 修道すれば。修補營造は期せすして自然に成すべ
J18_0274B19: し。
J18_0274B20: 或人。師の名號を所持せしものの。水難を遁れしこ
J18_0274B21: とを申來りければ。師門人に示していはく。別機の
J18_0274B22: 所感不求にして。自得の利益はさもあるべけれど
J18_0274B23: も。今これらは其人の命の盡ざるにてこそあらめ。
J18_0274B24: 其故はたとひ名號を所持する人なりとも。今海河に
J18_0274B25: 飛入て見られよ。たすかることあるべからずと。又
J18_0274B26: 或人火災にあひたりしに。師の名號灰中よりいで
J18_0274B27: て。少しも燒損ぜすと告來たりければ。師これをい
J18_0274B28: ましめられけるは。燒ざるもの貴くば。鐵鎚石など
J18_0274B29: こそ貴かるべき。わが書し名號を今ここにて火をつ
J18_0274B30: けて見られよ。燒ずやあるべきよしもなき沙汰な
J18_0274B31: り。ただ本願を信して。一脈に念佛すべしと示され
J18_0274B32: ける。
J18_0274B33: 又或人夢に日輪を拜瞻し奉るに。すなはち師なりと
J18_0274B34: 見て。そのよし師に申たりければ。師悅ばずしてい

ウィンドウを閉じる