浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0271A01: | のうちならんとおぼゆ。今よりことに餘言なく。一 |
J18_0271A02: | 向に念佛せんとおもふ。汝等も予がほとりにおいて |
J18_0271A03: | 念佛の外餘言を出すことなかれとありて。稱名絶る |
J18_0271A04: | ことなし。これより看侍の僧三人づづ枕頭に坐し。 |
J18_0271A05: | 香を燒き引磬をならして。助音しけり。同日の夜子 |
J18_0271A06: | の上剋。線香一炷の間。端坐念佛しそれより右脇を |
J18_0271A07: | 席につけく。合掌瞻仰し。聲を勵まして念佛せられ |
J18_0271A08: | しが。二日卯の下剋より稱名の聲漸くかすかにな |
J18_0271A09: | り。合掌して念佛すること。およそ十聲ばかり。そ |
J18_0271A10: | ののちは唯唇舌を動かし。顏貌怡然として終りをと |
J18_0271A11: | られし。實に明和七年二月二日辰の上剋なり。春秋 |
J18_0271A12: | 七十五法臘六十三多年仰信の道俗貴賤。悲傷哀哭す |
J18_0271A13: | ること考妣を喪するがごとし |
J18_0271A14: | 師の命終兩三日以前より。正命終の時にいたるま |
J18_0271A15: | て。靈夢を感し瑞祥を見る人多く侍る中に。或老尼 |
J18_0271A16: | は二日の辰刻。衆色の彩雲轉輪寺の上に覆ひて。雲 |
J18_0271A17: | 中より光明湧出で暫くありて。其光明彩雲ともに西 |
J18_0271B18: | の空に去るを親り見しとなん。此老尼は闠閙を厭ひ |
J18_0271B19: | て。多年閑處に獨住しいみじく念佛の功を積し人な |
J18_0271B20: | りとぞ。又在世より滅後にいたるまで。師の肖像に |
J18_0271B21: | 就て靈應を感じ。或は夢中に敎誡にあひ。或は靈告 |
J18_0271B22: | を得て利益を得し人など。別記あればここには漏し |
J18_0271B23: | ぬ。 |
J18_0271B24: | 門人等相議して初七日に當るの日蓮臺野に送りて荼 |
J18_0271B25: | 毘すべきに定む。これによりて二日より八日に至ま |
J18_0271B26: | で寺に遺骸を止めしに。曾て臭氣あることなし。又 |
J18_0271B27: | 死體柔輭にして面色鮮やかなりし。その送葬の式。圓 |
J18_0271B28: | 城寺主海音。轉輪寺主量阿等。師の棺を擔ひ。西光院 |
J18_0271B29: | 可圓比丘を上首として舊好の寺院得度の僧尼および |
J18_0271B30: | 高辻入道亞相定長卿をはじめ。多年歸依の貴賤男女翼 |
J18_0271B31: | 翼として隨ひ。行もの轉輪寺より蓮臺野にいたる。 |
J18_0271B32: | 十余町の間連綿たり。其道路老若男女馳せあつまり |
J18_0271B33: | て結縁するさま。盛んなる市のごとく。各各念佛し |
J18_0271B34: | て師の棺を禮敬す。まさしく荼毘處にいたりて。火 |