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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0270A01: 學同行となることは。みなこれ深重の因縁あるによ
J18_0270A02: てなり。汝等師恩を報ぜんと欲せば。予が沒後よろ
J18_0270A03: しく和合して。諍論をいたすことなく。互に慈心を
J18_0270A04: もてあひ向ひ。眞の善知識となり。もろともに願行
J18_0270A05: 相續して。同く極樂に往生せんと深くおもひ入れ
J18_0270A06: て。萬むつましく各各如法に勤修すべし。上を敬ひ
J18_0270A07: 下を慈みて。常に禮節を失することなく。不法のこ
J18_0270A08: とをば諫め制し。如法のことをばすすめたすけて。
J18_0270A09: 予が平常の敎訓をまもり。堅く出家の志操を立て邪
J18_0270A10: 徑に趣くことなかれ。人我を逞して。是非を攻鬪
J18_0270A11: し。非を見て諫ず。是を見て助けざるは。皆これ佛
J18_0270A12: 弟子沙門の心にあらす。おそれつつしみて。その心
J18_0270A13: を制斷すべしなど。丁寧に垂誡し。すなはち又門人
J18_0270A14: 某甲に命じて。略して此誡訓を記さしめ。名および
J18_0270A15: 花押はみづから書して授られけり。其座の諸弟子師
J18_0270A16: の慈恩の。深厚なることを喜び。かつは師の終焉の
J18_0270A17: 近かづきぬることを悲み。悲喜相交りてもろともに
J18_0270B18: 袂を潤しける。これより室中餘言なく唯念佛の聲の
J18_0270B19: みなり。時時は師高聲に念佛せられける。同二十九
J18_0270B20: 日の夜看侍の僧に對して。予が臨終と見ゆる時。界
J18_0270B21: 内の衆僧に告知らしむべからず。また此室に多く入
J18_0270B22: り集ることを得ざれ。ただ汝等兩三人傍に坐し。一
J18_0270B23: 人しづかに引磬をならして念佛せよ。息絶てしばら
J18_0270B24: くありて衆僧にしらしめ。次の間に相集て同音に念
J18_0270B25: 佛すべしと告られける。これ病を問ふ人斷ることな
J18_0270B26: く。時によりてははからず喧閙のこともあれば。一
J18_0270B27: 大事の最後に。もしかくあらばと。こころをもちゐ
J18_0270B28: てあらかじめ告られしと見ゆ。さればとて喧閙をも
J18_0270B29: て本願をさふるにはあらねども。用心のふかきゆゑ
J18_0270B30: なるべし。
J18_0270B31: 二月朔日の朝看侍の僧に命して。髮を剃り水をもて
J18_0270B32: 口を漱ぎ。それより明障子をひらきて。しばらく西
J18_0270B33: 方の空を觀望し。然して褥上に坐し。線香一炷の
J18_0270B34: 間。體を責て念佛し。告ていはく。予が命終今明日

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