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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0268A01: 一行を。みづからも勤め。他にも敎ゆるを急務とせ
J18_0268A02: られける。但しかく念佛の一法を尊崇せらるるとい
J18_0268A03: へども。餘佛菩薩餘敎餘善の功德利益において輕慢
J18_0268A04: 不信なることをば。嚴しく制誡せ〓れし。又師。自
J18_0268A05: 身においては萬事質素にして。臥具衣類等の供養を
J18_0268A06: 受られしも。胡亂に用ひず。常に信施を怖れ。もは
J18_0268A07: ら儉約をまもり。所有淨財をもて。或は佛像經卷を
J18_0268A08: 請し贖ひ。或は書籍を刊刻し。或は他の佛像堂宇を
J18_0268A09: 修營するを與力助成し或は人の具戒を受るを隨喜扶
J18_0268A10: 助し。或は如法修行の人に。衣食の資をあたへ。或
J18_0268A11: は父母に孝なるものには。財物資具等をつかはし
J18_0268A12: て。その孝行を策勵し。或は病者のために藥を與
J18_0268A13: へ。或は孤獨に給し。貧窮を救ひなどせらる。かく
J18_0268A14: のごときのこと。あげて數ふべからず。或人師に勤
J18_0268A15: て諸の善根をつみ給へる意樂いかがに候やと問ひ申
J18_0268A16: ければ。淨信の男女施こし來る財物等。餘分あるに
J18_0268A17: よりて。隨分の事をなし侍るなり。別の旨趣あるこ
J18_0268B18: となしと答へられしとぞ。その心の子細なきこと。
J18_0268B19: かつ廢立の人情に落ざること。すべからく三復して
J18_0268B20: 等閑に看過すべからず。
J18_0268B21: 師。穢土の化縁漸く盡て。西邁期ちかづきける故に
J18_0268B22: や明和四年夏の末より。しばしば微疾におかさる。
J18_0268B23: 然といへども自行化他すべて怠りなし。同五年京師
J18_0268B24: 轉輪寺において結夏し。諸弟子の爲に選擇集を講談
J18_0268B25: し。秋また尾張國に下向し。ことさらに圓成寺にい
J18_0268B26: たり。先師照譽上人の塔廟に詣で。府下圓輪寺に移
J18_0268B27: られけり。同六年六月初旬の頃より。所勞やや增氣
J18_0268B28: しけるが。安居も終り八月中旬上京すべきよしを申
J18_0268B29: されければ。病惱の御身殊に秋暑去ざれば。此御催
J18_0268B30: し然るべからざるの旨。常隨の侍者を始め。歸依の
J18_0268B31: 道俗頻に止め申けれども。師みづから思ひを决して
J18_0268B32: 上京を急がれける。圓輪寺貞壽寺等においても。弟
J18_0268B33: 子の僧尼。有信の人人に念佛相續し。早く往生せら
J18_0268B34: れよ。久しからずして。淨土にて再會すべしと。ね

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