ウィンドウを閉じる

J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0267A01: ことなるを。祠位を大切にして。如來を麁抹にするこ
J18_0267A02: と。いかなる顚倒ぞやときびしく誡示せられけれ
J18_0267A03: ば。施主理に服し。急に食盤を設けて。本尊に供養
J18_0267A04: しけり。師所所にてよりよりかくのごとく敎示せら
J18_0267A05: れしによりて。師に歸依せる輩は。道俗ともに恭敬
J18_0267A06: 修を專にし。嚴重に本尊を供養し奉ることになり侍
J18_0267A07: るとなん。かく靈牌供養の事を議せらるるも。先亡
J18_0267A08: の供養は麁略なれといふにはあらず。唯その追善の
J18_0267A09: 實をおしへらるるなり。卒爾に看過して僻をますこ
J18_0267A10: となかれ。
J18_0267A11: 師一期總じて。親疎順逆を論ぜす有縁のもの。死去
J18_0267A12: するを聞るるごとに。その法名を悉く靈簿に記しお
J18_0267A13: きて勤行の終りに。常に心をいたして回向せられ
J18_0267A14: き。これによりて亡靈人に託して師の回向を請。或
J18_0267A15: は形を顯して脱を告しことなど。ここかしこにてあ
J18_0267A16: りし中にも。ある時伊勢の國山田の寺の請に應じ
J18_0267A17: て。説法のために行かるる途中洞津を通行せられし
J18_0267B18: に。隨伴の小沙彌茶を求めければ一小家に立より茶
J18_0267B19: を乞るるに。此家新亡の挑燈あり。勢州のならひ新亡あれば必挑燈を出す
J18_0267B20: やがて内より茶を持來り。新亡老婆の牌前に供ぜし
J18_0267B21: なりとて。與へしかば小沙彌馬上にてこれを飮とき
J18_0267B22: に。にはかに身ぶるひせり。それより山田の寺にて
J18_0267B23: 瘧を煩ひける。師思はるるやうは。これ津にて茶を
J18_0267B24: 飮たる家の新亡小沙彌に託して。我に回向を乞と見
J18_0267B25: へたりとて。すなはち靈にむかひ汝回向を乞はば。
J18_0267B26: なにとて予に託せざるといはれければ。小沙彌平愈
J18_0267B27: して。師瘧を煩ひ出られて病はげしけれども。七日
J18_0267B28: の説法懈怠なく。回向しをはり歸りてのち。亡靈の
J18_0267B29: ために別時念佛し。回願慇重なりければ。遂に得脱
J18_0267B30: せる證ありしとぞ。
J18_0267B31: 師。一期堅く往生極樂の一途を勸説して。穢土のこ
J18_0267B32: とは。なにによらず。輕賤厭捨の心の發るやうにの
J18_0267B33: み敎示し。又よく正雜二行の得失を精論して。本願
J18_0267B34: 念佛の外。諸餘の作福を勸ることなく。偏に口稱の

ウィンドウを閉じる