浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0264A01: | 鈍根障重の人も。皆同しく往生するなり。但し死ぬる |
J18_0264A02: | ことをしらず。後世を恐るる心なく。念佛を申さざ |
J18_0264A03: | る人のみ往生すること愜はざるなり。夫昨日暮て今 |
J18_0264A04: | 日來り。今日暮て明日來るがごとく。三世歷然とし |
J18_0264A05: | て疑ふべきにあらず。偖眼前に重過を犯せるもの |
J18_0264A06: | は。必王法の刑罰を蒙り。正直に己が職分を勵み勤 |
J18_0264A07: | るものは。必立身するがごとく。善惡因果の報應少 |
J18_0264A08: | しも違ふことなし。しかるに己己日夜の所作。未來 |
J18_0264A09: | 善處に生るる因はなく唯惡趣の業のみなり。能く案 |
J18_0264A10: | しても見られよ。誰誰も一度は死なねばならぬ身に |
J18_0264A11: | あらずや。其死したらんとき。人人いかにせんと思 |
J18_0264A12: | ひたまふぞ識神きえず業に隨て行ば。後世の身も他 |
J18_0264A13: | 人の身にはあらず。玆に一つしかと心づかば。いか |
J18_0264A14: | なるおろかなる人なりとも。などか後世を恐る心發 |
J18_0264A15: | らざらん。後世を怖るる心だにおこらば唯ひらに南 |
J18_0264A16: | 無あみだ佛と稱ふべし。唱ふれば必ず往生を遂るな |
J18_0264A17: | り。世に罪深き男女無智の小兒などの但南無阿彌陀 |
J18_0264B18: | 佛と唱へしばかりにて。いみじく往生遂しもの古今 |
J18_0264B19: | 是おほし。是にて唯一向に念佛を申だにすれば。疑 |
J18_0264B20: | ひなく往生を遂ることを思ひ定むべきなり。偖その |
J18_0264B21: | 唱ふること多きは。日日に三萬六萬少きは千聲百聲 |
J18_0264B22: | 至て少は十遍づづ申ものも。皆决定して往生を遂る |
J18_0264B23: | なりかくのごとく賴もしき本願の念佛なれど。世の |
J18_0264B24: | 人愚にして未來の大苦をおそれず。但現世の少事を |
J18_0264B25: | 求たとひ名號を唱るも或は名聞利養の爲にし。或は |
J18_0264B26: | 攘災招福の爲にし又或は淺智をもて本願念佛の了義 |
J18_0264B27: | を疑議して。往生の信一决せず。かかる者は名號を |
J18_0264B28: | 稱れども本願に順ぜず。本願に順ぜざるがゆゑに往 |
J18_0264B29: | 生せず。是如來人を謬り玉ふにあらず。唯行者みづ |
J18_0264B30: | から背きて。往生せざるなり若一脈に後の世を助た |
J18_0264B31: | まへとのみ願て稱へなば。十遍の日課念佛にて往生 |
J18_0264B32: | を遂んこと。一微塵ばかりも疑ひなし但しかく本願 |
J18_0264B33: | 念佛の。貴く賴もしきことを聞て。眞誠に往生を願 |
J18_0264B34: | ふ志し發りなん人は。誓約するところの。十遍二十 |