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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0263A01: われ。實に無智無德にして人のために戒を授る器に
J18_0263A02: あらずといへども。聊大師先賢の芳躅にならひ。人
J18_0263A03: をして正見實行の地に安住せしめんがために。我に
J18_0263A04: 隨ひて剃染するものには。かならずまづ五戒を授。
J18_0263A05: また僧俗を論ぜず。吉水禀承の圓頓の大戒を授け侍
J18_0263A06: るなり。乞ねがはくは眞實に往生を願ん行者等。佛
J18_0263A07: 祖の敎誡を服膺して。正見に住し。深く本願を信し
J18_0263A08: て。專精に念佛し。兼て因果を信じて。小罪をも犯
J18_0263A09: さじと。恐れ愼むべし。大悲の本願にほこりて。放
J18_0263A10: 逸をいたすことなかれと。常に敎示せられしにより
J18_0263A11: て。師に隨ひて圓頓戒を受るもの。其數甚多し。久
J18_0263A12: しく師に歸するものの中などには。在家ながらも五
J18_0263A13: 戒を受け。袈裟を授り。優婆塞。優婆夷となりて。
J18_0263A14: 如法に勤修し。或は數代相續せる。賣色酤酒の家業
J18_0263A15: などを。あらため止めし輩も聞え侍る。
J18_0263A16: 師。法を説毎に。日課念佛をすすめ。印信として手
J18_0263A17: 書の名號を授與せらる。其作法凡五條。謂く一に懺
J18_0263B18: 悔。二に授與三歸。三に正授常課。四に立誓。五に
J18_0263B19: 求請護念なり。その勸説の常語にいはく夫機類萬差
J18_0263B20: にして。根に上下利鈍の別あり。その鈍根の下機は
J18_0263B21: こころいたりて愚に。罪ことに深うして信心も強盛
J18_0263B22: ならず。稱名も數遍を勵み勤ることあたはず。かく
J18_0263B23: のごとき人。多くみつから卑下して。往生極樂絶て
J18_0263B24: かなふまじとおもへり。これこの宗の元意をしらざ
J18_0263B25: るゆゑなり。抑阿彌陀如來の本願は。ただいかなる
J18_0263B26: 者も我國に生せんと願ひて。我名を稱へば其者を。
J18_0263B27: かならず我國に迎とらんと人選びなく。善人惡人有
J18_0263B28: 智無智同しく。すべおさめて誓ひたまふ。その中に
J18_0263B29: も。大悲の本意殊にその罪至て重く。こころ至て愚
J18_0263B30: なるものを目がけたまへるなり。罪を止め信心強盛
J18_0263B31: にして。稱名の數遍を勵む。有智純善の人のみ往生
J18_0263B32: すべくば。なにをか大悲本願の驗とせん。されば身
J18_0263B33: 持心持は兎も角もあれ。唯後の世を助けたまへとお
J18_0263B34: もふ意にて。一筋に南無阿彌陀佛と稱れば。いかなる

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