浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0263A01: | われ。實に無智無德にして人のために戒を授る器に |
J18_0263A02: | あらずといへども。聊大師先賢の芳躅にならひ。人 |
J18_0263A03: | をして正見實行の地に安住せしめんがために。我に |
J18_0263A04: | 隨ひて剃染するものには。かならずまづ五戒を授。 |
J18_0263A05: | また僧俗を論ぜず。吉水禀承の圓頓の大戒を授け侍 |
J18_0263A06: | るなり。乞ねがはくは眞實に往生を願ん行者等。佛 |
J18_0263A07: | 祖の敎誡を服膺して。正見に住し。深く本願を信し |
J18_0263A08: | て。專精に念佛し。兼て因果を信じて。小罪をも犯 |
J18_0263A09: | さじと。恐れ愼むべし。大悲の本願にほこりて。放 |
J18_0263A10: | 逸をいたすことなかれと。常に敎示せられしにより |
J18_0263A11: | て。師に隨ひて圓頓戒を受るもの。其數甚多し。久 |
J18_0263A12: | しく師に歸するものの中などには。在家ながらも五 |
J18_0263A13: | 戒を受け。袈裟を授り。優婆塞。優婆夷となりて。 |
J18_0263A14: | 如法に勤修し。或は數代相續せる。賣色酤酒の家業 |
J18_0263A15: | などを。あらため止めし輩も聞え侍る。 |
J18_0263A16: | 師。法を説毎に。日課念佛をすすめ。印信として手 |
J18_0263A17: | 書の名號を授與せらる。其作法凡五條。謂く一に懺 |
J18_0263B18: | 悔。二に授與三歸。三に正授常課。四に立誓。五に |
J18_0263B19: | 求請護念なり。その勸説の常語にいはく夫機類萬差 |
J18_0263B20: | にして。根に上下利鈍の別あり。その鈍根の下機は |
J18_0263B21: | こころいたりて愚に。罪ことに深うして信心も強盛 |
J18_0263B22: | ならず。稱名も數遍を勵み勤ることあたはず。かく |
J18_0263B23: | のごとき人。多くみつから卑下して。往生極樂絶て |
J18_0263B24: | かなふまじとおもへり。これこの宗の元意をしらざ |
J18_0263B25: | るゆゑなり。抑阿彌陀如來の本願は。ただいかなる |
J18_0263B26: | 者も我國に生せんと願ひて。我名を稱へば其者を。 |
J18_0263B27: | かならず我國に迎とらんと人選びなく。善人惡人有 |
J18_0263B28: | 智無智同しく。すべおさめて誓ひたまふ。その中に |
J18_0263B29: | も。大悲の本意殊にその罪至て重く。こころ至て愚 |
J18_0263B30: | なるものを目がけたまへるなり。罪を止め信心強盛 |
J18_0263B31: | にして。稱名の數遍を勵む。有智純善の人のみ往生 |
J18_0263B32: | すべくば。なにをか大悲本願の驗とせん。されば身 |
J18_0263B33: | 持心持は兎も角もあれ。唯後の世を助けたまへとお |
J18_0263B34: | もふ意にて。一筋に南無阿彌陀佛と稱れば。いかなる |