浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0262A01: | 願心ますます募り。持名の行日日にすすみしが。お |
J18_0262A02: | のづからその證やありけん。寶曆十二年の冬。また |
J18_0262A03: | 師を尋ねて尾州に來り。小子が往生近きにありとお |
J18_0262A04: | ぼえ侍れば。今一度穢土にて拜謁し。受敎の恩を謝 |
J18_0262A05: | し奉らばやと存じ。まかり登り候なりとて。聲をあ |
J18_0262A06: | げてさめさめと泣かれければ。師その篤情を感じい |
J18_0262A07: | たはりて。滯留せしめ歸郷の日彌陀佛の小像および |
J18_0262A08: | 手書の名號を餞せられける。翌年二月朔日本國に |
J18_0262A09: | 歸着せられけるに途中よりここち例ならざりしに。 |
J18_0262A10: | 同六日朝親しき蓮友をまねきあつめ。今日は我往生 |
J18_0262A11: | の日なり各各助音念佛せられよとて。手づから除髮 |
J18_0262A12: | 沐浴し袈裟内衣まで新しきを着け。師より贈られし |
J18_0262A13: | 本尊を臨終佛に拜していさましげに高聲念佛してそ |
J18_0262A14: | のまま西歸せられしとなん。まことに志操いさぎよ |
J18_0262A15: | き聖なりけり。師この和尚への敎訓實踐修道の要な |
J18_0262A16: | らんかし。しかはあれどこれらの敎訓。もしその實 |
J18_0262A17: | を得ずして。唯その相を執するときは。又病なきに |
J18_0262B18: | あらず。謹て告す實修の行者進退のあいだ。深く心 |
J18_0262B19: | をとどめたまへかし。 |
J18_0262B20: | 師。一期僧尼の弟子を度するごとに。五戒八戒およ |
J18_0262B21: | び圓頓菩薩の大戒を授與せらる。その止惡の用心を |
J18_0262B22: | 述ていはく。およそ佛法は因果を本とす。善果を願 |
J18_0262B23: | ひて善因を修し。惡果を厭ひて惡因をとどむ。これ |
J18_0262B24: | はこれ佛敎の大旨にして。いづれの宗にてもかはる |
J18_0262B25: | ことなきなり。もし善惡の因果を信ぜず。罪惡を恐 |
J18_0262B26: | るる心なきものは。佛弟子にあらず。これ外道天魔 |
J18_0262B27: | の徒なり。しかるに悲いかな澆風漸く扇いで。安心 |
J18_0262B28: | をひがさまに會得して。如來の正戒を輕しめ。甚し |
J18_0262B29: | くしては罪惡をおそれず。戒などうけ持つは大悲の |
J18_0262B30: | 本願を疑ふなりと。背宗の邪徒に同ずるものあり。 |
J18_0262B31: | 邪見の妄説おそれつつしむべし。夫有戒無戒同しく |
J18_0262B32: | 往生を遂るといへども。有戒は佛意にかなふ。また |
J18_0262B33: | 罪人は往生すれども。罪業は往生の障なりとあれ |
J18_0262B34: | ば。往生を願ん輩は。愼すばあるべからず。ここに |