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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0262A01: 願心ますます募り。持名の行日日にすすみしが。お
J18_0262A02: のづからその證やありけん。寶曆十二年の冬。また
J18_0262A03: 師を尋ねて尾州に來り。小子が往生近きにありとお
J18_0262A04: ぼえ侍れば。今一度穢土にて拜謁し。受敎の恩を謝
J18_0262A05: し奉らばやと存じ。まかり登り候なりとて。聲をあ
J18_0262A06: げてさめさめと泣かれければ。師その篤情を感じい
J18_0262A07: たはりて。滯留せしめ歸郷の日彌陀佛の小像および
J18_0262A08: 手書の名號を餞せられける。翌年二月朔日本國に
J18_0262A09: 歸着せられけるに途中よりここち例ならざりしに。
J18_0262A10: 同六日朝親しき蓮友をまねきあつめ。今日は我往生
J18_0262A11: の日なり各各助音念佛せられよとて。手づから除髮
J18_0262A12: 沐浴し袈裟内衣まで新しきを着け。師より贈られし
J18_0262A13: 本尊を臨終佛に拜していさましげに高聲念佛してそ
J18_0262A14: のまま西歸せられしとなん。まことに志操いさぎよ
J18_0262A15: き聖なりけり。師この和尚への敎訓實踐修道の要な
J18_0262A16: らんかし。しかはあれどこれらの敎訓。もしその實
J18_0262A17: を得ずして。唯その相を執するときは。又病なきに
J18_0262B18: あらず。謹て告す實修の行者進退のあいだ。深く心
J18_0262B19: をとどめたまへかし。
J18_0262B20: 師。一期僧尼の弟子を度するごとに。五戒八戒およ
J18_0262B21: び圓頓菩薩の大戒を授與せらる。その止惡の用心を
J18_0262B22: 述ていはく。およそ佛法は因果を本とす。善果を願
J18_0262B23: ひて善因を修し。惡果を厭ひて惡因をとどむ。これ
J18_0262B24: はこれ佛敎の大旨にして。いづれの宗にてもかはる
J18_0262B25: ことなきなり。もし善惡の因果を信ぜず。罪惡を恐
J18_0262B26: るる心なきものは。佛弟子にあらず。これ外道天魔
J18_0262B27: の徒なり。しかるに悲いかな澆風漸く扇いで。安心
J18_0262B28: をひがさまに會得して。如來の正戒を輕しめ。甚し
J18_0262B29: くしては罪惡をおそれず。戒などうけ持つは大悲の
J18_0262B30: 本願を疑ふなりと。背宗の邪徒に同ずるものあり。
J18_0262B31: 邪見の妄説おそれつつしむべし。夫有戒無戒同しく
J18_0262B32: 往生を遂るといへども。有戒は佛意にかなふ。また
J18_0262B33: 罪人は往生すれども。罪業は往生の障なりとあれ
J18_0262B34: ば。往生を願ん輩は。愼すばあるべからず。ここに

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