浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0261A01: | れば今よりは。佛祖の慈恩を報ぜんとおもふにつけ |
J18_0261A02: | ても。自身の往生を大切におもひ。師僧父母の大恩 |
J18_0261A03: | を報ぜんとおもふにつけても。自身の往生を大切に |
J18_0261A04: | おもひ。衆生を濟度せんとおもふにつけても。自身 |
J18_0261A05: | の往生を大切におもひ。檀越の恩をかへりみるに |
J18_0261A06: | も。法の深義を解知せんとおもふにも。その餘なに |
J18_0261A07: | 事につけても。ひとへに我此度の往生を。大切と深 |
J18_0261A08: | くおもひいれて。一切の世事悕望をやめ。餘の奇特 |
J18_0261A09: | 感見などに意をかけず。ただ往生を待事。童兒の神 |
J18_0261A10: | 祭などを待やうに。常にたのしみおもひて。わき目を |
J18_0261A11: | ふらず。稱名の一行を勤めおほせんと。堅くおもひ |
J18_0261A12: | 定めたまふべし。ただしかく化他をも廢し。萬事を |
J18_0261A13: | 抛離して。ひとへに自行を勵んとするの日。或は外 |
J18_0261A14: | より瞋憎愛染名利等の境。いろいろ起りきたりて。 |
J18_0261A15: | わが心を惱し障りをいたし。或は自身いたうわびし |
J18_0261A16: | くて堪へがたきことも。よりよりはあるべけれど。常 |
J18_0261A17: | に無常の念念我身にせまり近づくことをおもひ。心に |
J18_0261B18: | 道理を強くたてて。其を堪忍して。稱名を勇進せら |
J18_0261B19: | るべし。實に此現身一生の勤修。恙なく相續し。遂 |
J18_0261B20: | に極樂に往生しだにもすれば。一切貪瞋煩惱の苦。 |
J18_0261B21: | 速かに絶て。永く無爲最上の常樂を受。心のままに |
J18_0261B22: | 二利成滿する身となる事なれば。いかなる障り出來 |
J18_0261B23: | ぬとも。それに轉ぜられて。よはよはしき心を發し。 |
J18_0261B24: | この往生極樂の願行を。退轉すべきにあらず。され |
J18_0261B25: | ば如來も雖一世勤苦須臾之間後生無量壽佛國快 |
J18_0261B26: | 樂無極長與道德合明永拔生死根本無復貪恚愚 |
J18_0261B27: | 痴苦惱之患と勸勵したまふぞかし。此經文をつね |
J18_0261B28: | に意に念し。口に誦して意馬に鞭うち。目をふさぎ |
J18_0261B29: | よろづの障難を堪へ忍ひ。最後臨終の夕まで。願往 |
J18_0261B30: | 生の心たゆみなく。いさぎよく念佛相續せらるべし。 |
J18_0261B31: | かまへてただ一心に自行を勵み勤めたまへとぞ示 |
J18_0261B32: | し申されける。能圓和尚この垂示をうけ。歡喜踊躍 |
J18_0261B33: | するさま。たとふるにものなし。かくて本國に歸り |
J18_0261B34: | てのちは。この世のことは忘たるがごとく。往生の |