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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0252A01: く所度の尼僧にて。その數少なからず。規則嚴制。
J18_0252A02: 貞壽寺のごとし。
J18_0252A03: 師。ある時大原勝林院の。世に傳へて證據の彌陀と
J18_0252A04: いへる。丈六の本尊。かつて火災に罹り。面貌のみ
J18_0252A05: のこり給へるを得られき。のち明和五年。この面貌
J18_0252A06: を用ひて。本のごとく丈六の座像を。造立せられけ
J18_0252A07: る。また善光寺一光三尊の。銅像を摸し鑄らるるこ
J18_0252A08: と數體。有信の人に施與せられき。中において像の
J18_0252A09: 面貌湯融ぜすして。瑕玼のあらはれしは。みづから
J18_0252A10: 開眼供養せらるること。四十八度に及しが。のちに
J18_0252A11: は瑕玼も見えずなりて相好圓滿の像となり給ひしと
J18_0252A12: なり。
J18_0252A13: 寬延二年。師。勸化本義を艸書せられき。曾て此書
J18_0252A14: の因由を談じていはく。凡諸佛世に出て。化をたれ
J18_0252A15: たまふことは。本意。ただ衆生をして。生死の長迷
J18_0252A16: を轉し。菩提の妙果を得せしめんがためなり。しか
J18_0252A17: るに佛また浮華の少益を兼説し給へることあるは。
J18_0252B18: ただこれ如來慈父劣機を。聖道に誘引したまふ。善
J18_0252B19: 巧方便なり。しかあればいづれの宗にても。これを
J18_0252B20: 眞實の意とはせざるなり。况我淨敎厭穢欣淨をもて
J18_0252B21: 宗致とするをや。謹て案ずるに。法藏菩薩兆載永劫
J18_0252B22: の苦行は。ただこれ三學無分の衆生をして。たやす
J18_0252B23: く生死の苦域を出離せしめ。すみやかに無爲不退の
J18_0252B24: 常樂を得せしめんがためなり。全く人中夢幻の少益
J18_0252B25: をあたへんとにはあらす。故に本願の文に。至心信
J18_0252B26: 樂欲生我國といひて。誠信願生の一事をあげ。ちか
J18_0252B27: ひたまへり。これによて釋尊偏に願生をすすめ。諸
J18_0252B28: 佛同く證誠をなし。祖師ねもころに厭欣を敎へたま
J18_0252B29: ふ。しかるに近世。この佛祖の本位をかへりみず。
J18_0252B30: もろもろの現世のことを勸示し。無智の男女をし
J18_0252B31: て。ただ厭欣の誠心を失はしむるのみならず。さら
J18_0252B32: に五欲の境界において。染執をまさしむ。それ現世
J18_0252B33: の果は。みな宿因にむくひ。貧富壽夭先業の逐とこ
J18_0252B34: ろなれば。佛力も轉じたまふことあたはず。因果必

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