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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0250A01: 淨華院において。よき説法あり。汝疾く行て聽受す
J18_0250A02: べしと。喜庵あやしみ思ひながら。明朝かの寺にい
J18_0250A03: たりてみるに。はたして師の説法あり。ここにおい
J18_0250A04: て虚夢たらざることをしり。師に歸して。ついに專心
J18_0250A05: 念佛の行者となりける。
J18_0250A06: 尾張國。山田氏圓輪といふもの。藥師寺則忍等とあ
J18_0250A07: ひ議して。府下朝日町の正覺院といふ廢寺を再創
J18_0250A08: し。師の興法利生の道場とす。圓輪寺これなり。
J18_0250A09: 師。門人眞海をして住持せしめらる。すべて師建立
J18_0250A10: の寺院。みな照譽上人の名牌をたてて開祖とし。門
J18_0250A11: 人の耆軰を主として。寺事を領ぜしむ。又師の一期
J18_0250A12: 處處に精舍を創立せられけるに。本尊および莊嚴供
J18_0250A13: 具には。心を用られしかども。堂宇においては。た
J18_0250A14: だ雨露をしのぐのみにて。世の經營を縡とせずいは
J18_0250A15: んや自己のためにとて。別室をいとなむことなく。た
J18_0250A16: だ房舍檐牖の下などに。わづかに膝を容るばかりの
J18_0250A17: ところを設けらるるのみ。師の造立。世の脩營にこと
J18_0250B18: なるところありける。
J18_0250B19: 師。一日門人に告ていはく。それ一大藏經は。みな
J18_0250B20: これ。如來眞身の舍利。出世無上の珍寶なり大聖す
J18_0250B21: でに去り給ふといへとも。白法世に住し。西刹路を
J18_0250B22: 通することは。偏にこれによれり。祖師黑谷の藏に入
J18_0250B23: てこれを閲覽し。專修の門をひらき給ふ。苟も護法
J18_0250B24: に志あらんもの。またなんぞ忽緖にせん。予願はこ
J18_0250B25: れを安置供養して。深重の佛恩を報し奉んとて。す
J18_0250B26: なはち淨貲を捨て。一大藏經をこの寺に請せらる。
J18_0250B27: しかれども寺境狹少にして。寶藏を建るに便りあし
J18_0250B28: かりければ。別に一室を營構して供養せらる。のち
J18_0250B29: 縁山の雅山上人道話のついで。吾山藏經に乏しから
J18_0250B30: ず。宋。元。韓の三本あり。これむかし 神祖の寄
J18_0250B31: 附あらせ給ひしなり。しかるに藏規嚴にして。大衆
J18_0250B32: の通覽に便ならず。別に一藏を置て披閲せしめんこ
J18_0250B33: と。余がふかく願ふところなりと申されけれは。師
J18_0250B34: 隨喜して。すなはち此一切經本を移しおくらる。今

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