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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0249A01: れける。
J18_0249A02: 師。あるときおもへらく。夫選擇集は。實にこれ開
J18_0249A03: 宗の根基。行者の明鏡なり。しかるに此書。初發心
J18_0249A04: の僧尼淸信の士女。讀み得るに便ならずとて。淨業
J18_0249A05: の暇國字に譯して刊刻せらる。たまたま筆工に乏し
J18_0249A06: かりければ。門人に命じて。雲行法師の書せる。和
J18_0249A07: 語燈錄などの文字を。切わかち。選擇十六章の。文
J18_0249A08: 文句句に植えつらねらる。三縁山の忍海上人隨喜し
J18_0249A09: て。畵圖をそへ貴顯縉紳序跋を選述し給ひ。修飾こと
J18_0249A10: なり。延享元年版にちりばめ世に行はれ。和字選擇
J18_0249A11: 集といふ。また師。念佛名義集。三心要集。本願念
J18_0249A12: 佛正義辨。本願念佛利益章などを。同しく國字に改
J18_0249A13: 刻し。また元祖大師選述の。淨土宗略抄。往生要
J18_0249A14: 義。念佛大意の三章をあつめて。一册子となし。宗
J18_0249A15: 略大要義と題して。梓行せらる。これみな有信の道
J18_0249A16: 俗をして。容易く宗祖の正義を。知らしめんとの老
J18_0249A17: 婆心に侍り。
J18_0249B18: 寬保元年師上洛して。はじめて四條金蓮寺におい
J18_0249B19: て。道俗を勸誘せらる。また淸淨華院貫主貞俊大和
J18_0249B20: 尚も。師を祖堂に招て説法せんことを請ひたまひけ
J18_0249B21: り。抑當山は 禁闕の御内道塲にして。向阿上人。
J18_0249B22: 五代の法燈をかがけたまふ御寺なればとて。師すな
J18_0249B23: はち一夏の間。歸命本願抄を講説し。二尊の本懷。
J18_0249B24: ただ本願の念佛にあるの旨。演説せられしかば。貴
J18_0249B25: 賤渴仰し。課佛誓約の儔。日日に百をもて數ふべ
J18_0249B26: く。師に隨て剃染受戒するものも多かりし。其後も
J18_0249B27: また法筵をこの御寺に開れしこと度度なりし。
J18_0249B28: 都下に喜庵といふ人あり。最後の一子に別れ。世の無
J18_0249B29: 常に驚きて。眞實に後世をおそるる心おこりしかど
J18_0249B30: も。いまだ何れの法によりて。出離を得んとおもひ
J18_0249B31: さだむることもなければ。有縁の法に逢んことをね
J18_0249B32: がひて。日を期して。洛西太秦の興隆寺に參詣し。
J18_0249B33: 藥師如來の像前において。深心に懇禱す。喜庵ある
J18_0249B34: 夜の夢に。形貌雄偉なる神人來て告ていはく。今淸

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